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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
戦略家
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さんはサードへのファールフライに倒れた。

「こんな配球もあるんですね」
「これは裏をかかれたけど……」
「こんな配球する奴だったか?あのキャッチャー」

マスクを被り西(ニシ)さんを見ながら陽香さんと莉子さんが不思議そうな顔をしている。まるで読めない配球を繰り出す彼女を見ていると、チラリとベンチを確認している姿が気になった。

(ベンチからも指示が出てるのかな?それも踏まえながらやれば確かに一本調子にはならないよね)

ベンチに腰掛けているシワシワのおじいちゃん。彼は簡単なサインを送ると、西さんもそれに頷きサインを上原さんへと送っていた。

















第三者side

「いいの?おじいちゃん」

二番の笠井が打席に入る中、ベンチの最前列に腰掛けている老人に向かってスーツ姿のショートヘアの女性が声をかける。

「何がじゃ?」
「何がって……本当にあいつのいいなりになるつもりなの?」

苛立ちを隠すことすらしない彼女に対し、老人はしばしの沈黙の後、セカンドゴロに倒れる二番打者を見て小さく頷いた。

「ワシはこの子たちを全国に行かせてやりたい」
「私もそう思ってます。だからって……」

彼女の目線の先には一冊のノートとスコアブックが重ねてあった。そのスコアブックは二人の隣で記録している少女のものよりも新しく、ほとんど使われた形跡がない。

「初めは半信半疑じゃった。じゃが、ここまで見ればわかる。あの若者の見る目は本物じゃ」
「それはそうなんですが……」

ノートとスコアブックを手に取り目を通す女性。そのノートには細かく書かれた配球、そしてスコアブックには東英と常成の対戦を予想した各打者の結果が既に記載されていた。

「この子たちは三年間を懸命に戦ってきた。この子たちが夢舞台に立てる可能性が少しでも上げられるというのであれば、ワシは敵だろうと悪魔だろうと喜んで魂を売るよ」

下克上のために下した苦汁の決断。それが吉と出るか凶と出るか、誰にも予想することはできなかった。




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