暁 〜小説投稿サイト〜
ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね(お試し版)
二十二話「奴が来る」
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
『間に合った』

 正直を言うと、無理なんじゃないかという思いがあっただけにそれは奇蹟だった。時間にして二日ぐらい前に分裂した俺ことA3と俺は一つの俺に戻ることに成功し、火の息と火炎の息を吐くことができるようになった。

(二重人格になるようなことが無かったのは、分裂してからあまり時間が経ってないからか、あちらも俺であるからかはわからないけれど)

 半分くらいこうなるのではと言う確信はあった。この世界、大魔王を倒して世界が平和になるかどうかは原作の話だが、本当に綱渡りだったのだ。

(そんな状況下で、「俺が本物だ」だの「俺がオリジナルになり替わる」だのやったらどうなるかなんてわかり切ってるもんな)

 足の引っ張り合いをして、それが原因で世界が平和にならなかったら元も子もない。野心を持つ分裂した俺が仮に居たとしても、大魔王の脅威が去りましたとなるまではその手の野望は先送りにするはずだし。

(加えて俺、オリジナルだからって理由で師匠との接触任されてるからなぁ)

 他の分裂した俺も例に漏れず、原作に一番近い立ち位置を押し付けてくる。俺はオリジナルなのでやむなしで甘んじてるが、自分が分裂した俺だったら、わざわざこの損な立ち位置に居ようとは思わない。

(まして近々魔王が襲撃してくるんだ。元魔王だっけ? ともあれ、この状況で生き延びることを考えるなら、自分の割り振られた修行を完遂して本体と合体、本体を強くするのが一番確実だろうし)

 分裂したまま俺に危険を押し付けて逃げるという選択肢もあるにはあるが、オリジナルの俺と間違われて魔王襲撃の場に立ちあわされるという危険性があることを考えるとリスクがでかすぎる。それに辛うじて無事だったとしても、この島でフェードアウトする俺の代わりに原作主人公の旅の仲間に誘われる危険性が高い。1倍の修行成果しか得てない状態で危険に身を置くことになるかもしれないなら、数倍の修行成果を結集したオリジナルの一部の方が安全、と言う訳だ。

(そもそも、秘密特訓してる俺がこの場にいないってことは、アレはまだ完成してないってことだもんな)

 正直、ブレスなんかよりも難易度ははるかに高く。だが、俺がこの島で引退生活を送るには絶対に完成させなければいけないもの。

『A、合体は?!』

 様子を見に行こうかとまさに俺が思った時だった、険しい表情の俺が顔を出したのは。

『完成した、そっちは?』
『何とかはなった、だが』

 元々俺の考えたことだ。言葉を濁そうが先ほどの表情と慌てて俺を呼びに来た時点で何が起きたかは想像がつく。

『俺達から初めての死者が出たか』

 突貫でこの窮地を切り抜けるための手段を編み出す、それだけで無茶なのだ。

『馬鹿野郎、一番危険なところは俺に押
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ