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ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね(お試し版)
二十話「南海の孤島」
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「うおおおおおっ!!」
師匠の投げた剣を使って、ダイが兄弟子の仕留めそこなった方のガーゴイルを海ごと原作通りに真っ二つにしたのは昨日のこと。明日より真の勇者となる為のキビシー修行が始まりますと話した師匠の言葉通り、早朝から修行は始まっていた。ロープで縛られた一抱えもありそうな石を複数ぶら下げて駆ける原作主人公の背中が俺のはるか先にあり。
『きつい』
俺はダイのぶら下げた重りの一つにも満たない石を抱えたまま必死にその背を追いかけていた。
「ポップもメラゴースト君も兄弟子なのですからいろいろとダイ君の面倒を見てあげなくてはダメですよ」
と言われてポップと一緒に返事をした翌日の早朝からこの様である。いや、身体能力で原作主人公に勝てる筈がないのはわかり切っていたし、俺は魔法使いコースだから重りが少なくても良い筈ではあるんだけれども。
「メラゴースト君、大丈夫?」
とか振り返って弟弟子に尋ねられると、うん、些少凹んだって仕方ないと思うんだ。尚、ダイと言う通訳との出会いで間接的に意思疎通が可能となった訳だけれども、俺は相変わらずメラゴーストと呼ばれている。
「ところで、このメラゴーストさんには名前とかないんですか?」
そんな風に師匠にダイの面倒を見るように言われたときにダイが疑問を口にして名乗る機会はあったわけなのだが。これについては俺がメラゴーストのままでいいと原作主人公に伝えたのだ。
『あるにはあるけれど、もう呼び名が定着してしまってるし、何より俺って分裂能力を持ってるから、分裂すると名前で呼ばれたとき両方が返事してしまうし』
一応、メラゴーストだからラゴウだとかラゴットだとかそれっぽい名前は暇な時間で考えてはいた。
(けど、もうすぐフェードアウトする俺としては名乗る意味もあまりなさそうだもんなぁ)
それに下手に名前があると近々襲撃してくる魔王に名前を覚えられるかもしれないというのもある。メラゴースト呼びならこの島のモンスターとうまい具合に誤解してもらえるかもしれないし、だからこれでいいのだ。
「メラゴースト君?」
『っ、すいませんっ』
回想に入って気が付くと走るペースが落ちて居たらしく、師匠の声で我に返った俺は慌ててもうかなり小さくなっている弟弟子を追いかける。
『はぁはぁはぁ』
それなりにレベルは上がって居るはずだというのに相変わらずこの走りこみはきつく。
「よいしょよいしょ」
気が遠くなりそうな俺が知覚したのは師匠の声とやたら重い足音。
『あ』
振り返れば大岩を担いだ師匠の姿があり、俺はその理由を察した。俺が呪文で砕けと言われたときと同じくあれを剣で切れと言うのだろう。原作にもそんな流れがあったはずだ。
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