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ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね(お試し版)
十六話「パプニカへ」
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「……長かった」
大陸と大陸を渡るのだ、当然と言えば当然かもしれないがずっと巨大カンテラに押し込まれたままと言う状況も体感時間を引き延ばすのに一役買っていたと思う。
「にしても、色々あったなぁ」
漁火代わりにされて食糧調達を手伝ったり、魔物が寄ってくるといけませんからとカンテラ自体に布をかぶせられて長いこと何も見えない時間が続いたり、舟をこぎ続けた師匠のことをつくづく人間離れしてるなと思ったり。
(気が付けば陸地が見え始めてるんだもんなぁ)
島と言った規模ではないので、おそらくあれがホルキア大陸なのだろう。
(ルーラの呪文の契約は幸いにも成功してるし、こんな船旅もそう何度もないんだろうな)
師匠と共に行くのも原作主人公の故郷までだと思うので、ホルキア大陸から南海の孤島までもう一度船旅はあると思うが、師匠はパプニカからの依頼で主人公の故郷に赴くのだ。流石にパプニカも船ぐらいは用意してくれると思う。
(用意してくれなくて小舟を使う場合でもその一回こっきりの筈)
メラゴーストで人間ではないからか、幸いにも船酔いとは無縁の航海だったし、耐えられないこともないのではないだろうか。
「おい、メラ公! 陸地が見えて来たぜ、ホラ」
尚、この短い船旅の間に俺は兄弟子からそんな風に呼ばれるようになっていた。ポップはまだ俺が筆談出来ることを知らないし、あちらが名前を尋ねてきても話す言葉がメラメラとしか聞こえてないようなので、仕方ないといえば仕方ないのだが。
(この状況だと気づいてましたよと言うのも野暮かな)
一応本当だと言ってから俺は視線を陸地の方へと戻す。
(パプニカ、かぁ)
被害が出ることが解かっているからこそ、未だに迷う。少しでも被害を減らせる手立てがあれば、良いとは思うものの良案はなく。
(やはり師匠に魔王の意思の影響を俺が受けるかどうか聞いておくべきだよなぁ、ただ)
魔王の意思の影響でモンスターが凶暴化するというのを俺が知っているのは、原作知識によってだ。原作知識を伏せて師匠に尋ねるとするなら、まず魔王の意思でモンスターが凶暴化するという情報を俺が得た元をでっちあげる必要がある。
(パプニカの城下町で聞いたとかにするにしても、モンスターの俺が単独行動を許される筈はないし)
それならまだ、物語の話を師匠にするついでに逆にこの世界のことを聞き、師匠の口から話してもらう方が自然だし難易度も低いと思う。
「この世界で今後も生きていくとして、気をつけないことがあったら教えてください」
とか、そんなところだろうか。この質問が出てくるまでが遅いのではと訝しまれたら、師匠が一緒だったので当面安全だと思っていたとか何とか言って誤魔化すとして。
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