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東方絆日録 〜 Bonds of Permanent.
共存編
早苗:小旅行A

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さて、香霖堂を後にした二人は紅魔館(こうまかん)へ向かった。そこは悪魔と名高き吸血鬼の姉妹が住まう館で、外観や内装など全てが深紅(しんく)で統一されているようなところだった。

紅魔館の門の前へ来ると萃香は『急な用事ができた』と言って帰ってしまった。
門番に話しを通せば中に入れるらしいのだがーーー


西(ぐっすり寝とんしゃあばい…。)


これである。肝心の門番が寝ているのでは全くお話しにならない。

人民服というのだろうか。それに身を包み、「龍」の文字が入った深緑色の帽子を目深(まぶか)に被っている中国人らしき女性はいま、職務を放棄してシエスタ(午睡)の真っ最中だった。
門番らしき人物はこの女性しか見当たらないので、とりあえず彼女に話しをつけなければならない。


(西) 「?好(ニーハオ)!」

女性:(-.-)zzZ…。

(西)「もしもし?」

女性「……んん、新聞なら間に合ってましゅよー」ムニャムニャ

(西)「あの、中ごーーー」

女性「言わせませんよ!」


「中国さん」と言おうとしたとたん、さっきまで寝ていた女性が跳ね起きた。


(西)「ユー、日本語ワカルの?」

美鈴「元から日本人です!そして私の名前は紅美鈴(ホン・メイリン)です!!」

(西)「いやいや。その服装といい名前といい、もう完全に中国人やん」

美鈴「人間じゃありません!妖怪です!!」

(西)「妖怪ねえ…まあいいや。美鈴さん、頼みがあるっちゃけど聞いちゃらん?」

美鈴「OK!妖怪に何か用かい??」(キリッ)

(西)「ちょっとでよかけん中に入れてくれん?何があるのか興味があるんよ(つまらんダジャレやね…。)」

美鈴「(渾身のギャグをスルーされた…。)なんだ、そんなことですか。……はい、どうぞ」


相手の素性も確かめぬまま、美鈴はあっさりと門を開けた。


美鈴「どうぞお気をつけて。私はまた睡眠ーーーげふんげふん、警備に戻りますので。……それでは」


美鈴はそう言って門を閉めると置いてあったパイプ椅子に腰掛け、再び深い眠りについた。
門番にあってはならない言葉が飛び出したのは気のせいだろうか。


西(……本当に門番なんやろか?)




ーーー(西)は仕事そっちのけでぐーすか寝ている門番に半ば呆れつつ、建物の中に入っていった。
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