第3章
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それから、しばらくは外で会うということは無かったんだけど、夏が始まろうかという頃、増井さんから海を見に行こうかと誘われた。家の近くのスーパーで待ち合わせをして、車に乗せてもらって、着いた海岸は松林がつづいて白い砂浜。気の早い人達が数人で、もう海水浴を楽しんでいた。
ずーと天気の悪い日が続いていたので、久々に太陽を浴びて心地よかった。海岸沿いを散歩して、突堤のところでは小さな魚を見つけては、はしゃいだりして、その後、砂浜に座って、近くで買ってきた海苔巻きとイカの姿焼きをつまみながら、湾内に入ってきた貨物船を眺めていた。ゆっくりと、時が過ぎてゆくのを感じていたのだ。
食べ終わると、増井さんは「きもちいいー」とか言って、仰向けに寝転んでいた。眼を閉じていたもんだから、しばらくして、本当に寝てしまったのかどうかわからなかったのだ。私は、その顔を上から見ていて、衝動的に唇を寄せて、チュッとしていた。
増井さんはその時、本当に寝ていたのかどうかわからないけど、上体を起こして
「うーん 良い気持ちだよ」って・・・どっち気持ちなのかもと考えてしまったけど、私は
「嫌いじゃぁなかったら・・ウチを抱いて欲しい」って、言ってしまった。本当に、そんな気になっていたから・・
「えー いや ルリちゃんのことは好きだよ だけどなー」
「お願い あのね ウチ 初めてちゃうから、あんまり考え込まんでええでー 抱かれたいだけ 好きなんです 増井さんのこと」
そして、ラブホテルに連れて行ってもらった。そういうところは、初めてだったんだけど。増井さんがシャワーを浴びている間に、私は、パンティとブラだけになって、ベッドに潜り込んでいたんだけど、出てきたとき
「ごめん やっぱり ウチもシャワーしてくるわ」と、入れ替わって浴室に向かった。大きなお円形の浴槽と・・いろんな色の灯り びっくりした。私は、丁寧に洗って、ホテルの薄っぺらいバスローブにパンティだけをつけて、増井さんが腰かけているベツドに飛び込んでいった。
そして、今度は抱きしめられて、長いこと唇を合わせ、それからは優しく愛してもらった。私は、あいつの時とは明らかに違って、増井さんが入ってきたときも、まちわびたように夢ごこちの気分で もっともっとと、彼にしがみついて 歓びを感じていた。
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