暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
決戦前夜
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ビデオが終わったところでミーティングへと移る。一度見た試合であったためおさらいも兼ねていたが、疑問点を拭うには至らなかった。

「初回はストレートのゴリ押しで失点していたが二回以降コーナーにボールが集まっていた。ただ、時折甘いボールが来ていたのに日帝大は六回までヒットが出なかったのは気になるな」
「でも初回より後半の方が球速も出てたよね?差し込まれてた可能性は高いんじゃない?」
「そう考えるのが無難かもねぇ」

球速はこの大会で最速と考えていい。そのボールがコーナーに決まり始めたらいくら打撃に定評のある日帝大付属でも打てなくても不思議ではない。

「でもなんで初回はスプリット使わなかったんですかね?」
「得意なボールでエンジンをかけるためと考えた方がいいかもしれない。他の試合でも初回に失点してるところを見ると、毎試合この入り方をしてるのかもしれないな」

明里の問いに真田は淡々と答える。それに野球未経験だった莉愛はいちいち相槌を打っており、隣に座る瑞姫から頭を故突かれていた。

「攻撃面だとクリンナップに入っているソフィアとリュシーの留学生コンビ。この二人がかなりの脅威になるな」

二人ともホームランを放っている上に全打席で出塁している。ほとんどの得点に絡むだけにもっとも警戒すべきな打者であることはよくわかった。

「ランナーいる時は勝負しない方がいいですかね」
「そう思ったんだが……」

莉子の問いに歯切れが悪そうにしている真田。その行動の意味がわからず全員が首をかしげていた。

「ソフィアとリュシーの後に来る五番の蜂谷。こいつも目立たないがかなりいいバッターみたいだ。それもチャンスに強い」
「そういえばタイムリーも打ってましたもんね」
「あぁ。一打席目は凡退だったがその後の二打席ではリュシーをホームに返している。他の三試合のデータももらったが、こいつはソフィアかリュシー……どちらかが出塁している状態での打率は6割を越えてくるらしい」
「えぇ!?それじゃあ敬遠もできないじゃん!!」

優愛が驚きの声をあげる。それには他の少女たちも同感でざわつき始めている。

「蜂谷さんがチャンスに強いから前の二人を歩かせづらい訳なんですね」
「あぁ。しかもこれは二人が出塁している場合だ。これが仮に得点圏ならさらに打率が上がる。ランナー三塁なら必ず得点を奪っているんだ」

リュシーの走力を間近で見ていただけに莉愛の顔が青ざめていた。仮にソフィアも同等の走力を持っていると考えた場合、フリーパス状態にされてしまうことに恐怖を感じていた。

「他の打者は打力が高いというよりも細かい技術を持ってるな。どのボールにもしっかり対応しているところを見ると、狙い球を絞っているのかもしれない」

日帝大付属の投手陣は
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