第十話:動き出す宿命…始まった悪意による絶望
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るんだよ、ネロ』
初めて名を呼ばれたネロはただ震えるしかできない身体を震わせながら、早く終われと強く祈っていた。
『この僕を滅ぼしかけた''彼''の血統を受け継ぐ君が、強くなって僕を殺してくれるのをね』
声を聞くたびに、森全体の木々が自分と同じように恐怖で震えているようにすら見える。
『最後は僕の名前も残して去ることにするよ、よく覚えるといい』
次の瞬間、ネロとラクサスの前の視線にあっただろうその森は――死滅していった。
まるで命を吸い取らていくように枯れていく自然を目の当たりした彼らに、ソレは最後に名前を明かす。彼らにとっても忘れられないであろう誰かの名前が。
『僕の名前は――醜い妖精、スプリガン。 また会おう――次に顔を合わせるときは、今よりもうんと強くなっていてくれ』
一方的であったその会話にあった圧倒させられていた魔力は、まるで初めからいなかったかのように消えた。
それを実感した途端ネロとラクサスは地面に膝をつき、過呼吸になっていた息を急いで整えようとする。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…!!!」
「な、なんなんだよ…今のは…げほっ…!!」
必死に状況を理解しようとする彼らに、今まで敬服していたその女は静かに立ち上がり二人の少年たちが落ち着くまでただ彼らを見ていた。
「ね…姉さん…こ、これって…さっ…さっきの…!!」
「オイ…説明しろよセイラ…!!アイツは…一体…」
【私が命じます。 ‘’立ち上がりなさい''】
近くにいたレイラに説明を求めていた彼らは、彼女の力を宿す言霊によりすぐさま立ち上がってしまう。
少年たちの意識下ではなく、その身体が本人たちの思惑をよそに勝手に動いたようにしかわからない。
いや、初めての感覚ではない少年――ネロはこれを知っている。
無理矢理相手を己の言葉によって制御させることが可能とする魔法――この魔法は、
「ね…姉さん…何するんだよ…!!」
ネロの姉である、目の前にいるレイラ本人の魔法であった。
弟の問いかけに、彼女は答えない。
「さぁ、あの御方の理想の未来の為に…第一関門として立っておきましょう。かかってきてください。 ハンデとして、私《わたくし》の魔法は使わずにおいておきましょう」
「聞いてないのか姉さん!?アイツ…が、姉さんの言う御方なのか!!?」
「構えなさい、でないければ――」
「っ…!!ネロ!避けろ!!」
家族にそれでもなお言葉で語りかけようとする少年に、女はただ非常に掌を構えて――ネロの横腹へと掌底うちを叩き込んでいた。
せっかく息を整えていたであろう茜色の少年の息を止めかねない程の威力に
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