第十話:動き出す宿命…始まった悪意による絶望
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終わったのか、セイラは地面に膝をつき面を下げる。まるで王の御前とも思われるその敬服にネロとラクサスは益々状況が読めなくなっていった。
『二人とも待たせたね。 まさかキミがラクサスと友達になるとは思わなかったけど、これもあの二人の血筋による結果かな。 ゆっくり見てみればラクサス、ユーリに似ているね。彼の面影がよく残っている』
次に謎の声が彼らに意識を向いたのだろう、どこにもいないのに二人は途轍もない程の巨大な気配の視線を感じて先ほどより金縛りが強くなったと感じた。
話しかけられたラクサスは上がる圧迫感により息がうまく吸えないのだが、それでも辛うじて謎の声の言葉をゆっくり聞き取っていた。
ユーリ、という見知らぬ人間の名前を持ち出されて本人は一体何に巻き込まれているのが理解できずに。
『ああ、ごめんね。 できることなら顔を合わせて話をしたいけど、友人に止められていてね。 一応テレパシーの魔法の範囲を上げて話しかけているが、使う魔力が大きすぎて君たちに苦痛を与えているみたいだ。 少しの辛抱だけど、耐えておくれよ。いい修行にもなると思うしね』
魔力の圧迫、ただそれだけの現象で少年たちは身動きできないほどの金縛りを発生させているのかと彼らは背筋を凍らせた。
この声主は…まるで親しい人間に接しているような話し方も含めてラクサスとネロにとってはただ不気味で仕方ない。
『さて、妖精の尻尾に入るんだってね?いいと思うよ。君を強くなるのにもってこいの環境だ。 ただ行くのならちゃんとセイラの教えを聞くんだよ? 君、魔法を使うときに魔力の通し方があまりにも酷いものなんだから」
『今はそれでもいいんだけど、あまり記憶頼りに動くのは良くない。 人間誰しもまずは基本から一歩を踏み出すのだから、間違った方法をし続けると――壊れちゃうよ』
――記憶通り…?
声の主の言葉にギリギリ意識を保っていたネロにとって、心臓を掴まれるという感覚にさせられる程迫っていた。
その言葉は、ネロという人間の魂の正体を知っているかのような口ぶりに恐怖に震わせるのに十分な言葉であった。
『彼と同じ''技''、そしてその心の底から恐怖を表している顔…やっぱりそうか。 君は――記憶を引き継いでいる…いや、漠然とした感じで持っているか。 …興味深いね』
まるで今までの自分の行動を見てきたかのように感じられる、今までそれを気づけなかったネロの行動はただ恐怖で震えることだけ。
『よし、君がギルドに入った後から、理不尽をぶつけることにしよう。 っといっても、君に試練を与えるのは僕の友人なんだけどね』
『らしくもなく長話したけど…僕が何言いたいかと表すとね――君に期待してい
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