第十話:動き出す宿命…始まった悪意による絶望
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「ネロはオレと同じギルド、妖精の尻尾に入る。 そこでだ、アンタもまだギルドに所属していねえなら姉弟一緒に入らねえか」
「……」
「聞いてくれよ姉さん、そのギルドにも滅茶苦茶強い人がいるみたいでさ、それにギルドメンバーの人たちも個性あふれるヤツばっかりで面白そうなんだよ」
今まで離れてみていたセイラの弟であるネロも近寄り、先日ラクサスが話してたギルドの話をする。
ギルドの人間たちのアホ話。
強い魔導士。
冒険になるであろうクエスト。
どれもネロが今まで味わったことのない日常がそこにある。
姉と一緒にその日常に溶け込めばどれだけいいのか。
きっと退屈なんてさせてくれないであろう日々がそこにあるのだろう。
強敵と闘い、強くなって、美味しい姉の料理を食べて強い姉と稽古。
そしてラクサスとの勝負、ラクサスより強いであろう魔導士とラクサスの祖父であるマカロフの強さ。
どれも魅力的なことであり、既にそれが楽しみになっているラクサスとネロがいる。
だから彼らはその手が拒まれるという発想は、ハナからなかったのだ。
「折角の申し出ですが、お断りさせていただきます」
ギルドの加入を断り、彼女はただ淡々としていた。
「私、もうギルドに所属しておりますので」
「…え、姉さん本当にギルドに入ってたの!?」
「嗚呼、そういえば今まで教えたことがございませんでしたね」
「…マジか、ギルドを変える気とかも…」
「ありませんわね」
すでにギルドに所属していたという事実を明らかにするセイラに弟であるネロは驚き、そして一か八かの異動の可能性を求めるラクサスに彼女はやはり淡々とその可能性を切り捨てる。
風に吹かれる髪を手で押さえながら、弟であるネロを見つめて。
「ネロさまは、ラクサス様の所属するギルドに加入する…ということでよろしいのですね?」
姉の質問になぜかネロは問い詰められているような、まるで悪いことをして怒られてるような気分になる。
何故、姉から怒気を感じるのだ。
「そう、だけど…何か悪いのか?」
「――いいえ、悪くはないですわ。ええ…ネロさまの歩むべき道は、貴方さまが決めるべきことですので」
「姉さん…?」
「アンタ、ネロに同じくギルドに入ってほしいと思ってんだろ」
困惑気味に姉を呼ぶネロの前にラクサスが出て、彼女の核心とも呼べる感情を指摘した。
「……。」
「家族、同じギルドがいいもんな。 離れ離れっつーのは結構辛えことだし、何よりアンタ――」
「――ブラコンだろ」
「否定しません」
「!?」
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