第十話:動き出す宿命…始まった悪意による絶望
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オレの攻撃が通じるとか、ラクサスなら姉さんといい勝負ができると思っていた。
そんな憶測を打消すほどに脆いものだったことを、今目の前の現実がオレに突き付けられる。
1年前のオレより強いオレよりも強者であったはずのラクサスを、今オレの姉さんは表情を変えずに魔法を使わずただの身体能力で叩き伏せた。
何が強くなっただ、目の前で今もなお強さを表す姉の前じゃ、まだ全然紙屑と同然のままだ。
ラクサスの雷を食らったら今のオレでも平然といられない。
大会の時よりパワーアップしたのはラクサスだけじゃなくオレもなのだが、それでも今のラクサスにまだ敵わない。
姉さんをギルドに連れて行ったら、また一から鍛え直してもらおうと思っていたが…うん、鍛え直すところかいっぱい稽古してもらわないといけないらしい。
じゃないと、目の前の二人に並ぶ程強くなれないだろうから。
「…これでよろしいのでしょうか。 実力を見せてほしいと言われたので、御手合わせをしたのですが」
「…………。」
「…ラクサス様?もしや気絶―」
「……………ちくしょうっ」
「――してないのですね。 驚きました、予想以上に打たれ強いのですね」
ここに向かう道中、ラクサスは大人の魔導士よりも強いと聞いたことがあった。
大半大人より、ラクサスの方が実力者で、アイツは一部の人間にしか圧倒されたことないということも。
だから、何気にラクサスがこんなに悔しがるのもしょうがないんだろ。
身内の魔導士より会ったばっかりのダチの姉にこうもボロボロされるというのは、今まで築き上げてきた誇りを傷ついちまうのは。
★★★★★★★
「強えよ…なんでこんなとこに…こんなに強いヤツがいるんだよ…」
「私、あまり騒がしいのは好みませんので。 こういう人里の離れた場所で弟と過ごすのが性に合ってますの」
「…アンタ、今どこかに所属しているギルドでもあるのか?」
ボロボロで汚れた服をたたきながらラクサスが立ち上がり、セイラの目を見つめながら、そしてその弟であるネロをチラ見してから本来の目的であるセイラの勧誘のために質問した。
可能であれば、このまま一緒にギルドに連れていき、また強くなったら決闘しようとラクサスは内心を燃やす。
ライバルであるネロより、その姉の方が強かった。
今のネロ・ハバードならば並大抵の雑魚魔導士より実力者だ。 それは今のラクサスも言えることだが、同年代でラクサスといい勝負できる人間は彼の周りにはいなかった。
だからこそ、そんな自分たちより強者であるセイラという存在は、ラクサスにとっても超えるべき壁の一つになるのは当然の結果だろ。
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