第十七話 合コンが終わってその八
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「そんな無作法なことは」
「そうよね」
「世の中そんな人もいるんだ」
「人を支える気なんかない人ね」
「ああ、こんなのと一緒にはなるな」
「なったら何にもならないわね」
「最低な人間を観たいならいいけれどな」
それでもというのだ。
「いい気持ちはしないぞ」
「そこまで酷い人なのね」
「人の家に今日行くって言っていきなり来てお邪魔しますも言わないでだ」
また具体的な行いのことを話した。
「ご飯を三杯も四杯も食べてお風呂に入って布団で寝て親からお金貰って朝はおかずまで作らせて三杯食べて帰るんだ」
「ご飯をよね」
「しかも人の部屋に勝手に上がり込んで本を漁る」
「図々しいにも程があるでしょ」
「お世話になった場所の不平不満ばかりでな」
「その人いいところないじゃない」
「だからないんだ」
父はきっぱりと言い切った。
「誰かの為に何かしたこともなくて献血さえもな」
「したことないの」
「お前もあるだろ、献血は」
「たまにしてるわ」
一華は父に実際にと答えた。
「本当にたまにだけれど」
「けれどしてるな」
「うん、それはね」
「それすらもだ」
「したことないの」
「献血はそのたまでもな」
それでもとだ、父は娘に話した。
「人の役に立つんだ」
「輸血でね」
「あと血から薬も造られるしな」
「そうなの」
「だから役に立っているだ」
献血をすればそれだけでというのだ。
「人を助けてるんだ」
「いいことなのね」
「しかしな」
「その人は献血すらしたことないの」
「生まれてから一度もな」
「誰かの為に何かしたことなくて」
「人柄や行いは言った通りだ」
まさにというのだ。
「誰かに寄生しているだけでな」
「支えたことはないの」
「全くな」
「しかも何も出来ないのよね」
「努力しないからな」
その為にというのだ。
「その辺りの高校出ただけで何の技能も学歴もなかった」
「そう言えば働いてないって言ったわね」
「世の中のことも知らなくてな」
「全然偉くないわね」
「しかし自分がこの世で一番偉いと思っていたんだ」
「あの、最低過ぎるでしょ」
一華はここまで聞いてあらためて思った。
「もう何から何まで」
「酷いな」
「いいところが全くなくて」
「だから奥さんにも逃げられてな」
「感謝もしなくて」
「そんなどうにもならないこと言ってたんだ」
爪切りまで持って行ったなどと、というのだ。
「挙句にはもう誰からも見捨てられてな」
「行方不明ね」
「もう死んだかもな」
父は素っ気なく言った。
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