暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアG編
彼の弱点を探れ
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そこには確かにウィズが居て湯気を立てるティーカップを持っていた。

 その姿に颯人は全員の視線がウィズに集中しているのを幸いと盛大に顔を顰めた。

――何でウィズの奴!?――

「つまり颯人にはまだ克服できていない弱点がある!」
「それは何!」
「…………分からない」

 期待を寄せる響達だったが、奏が肝心の颯人の弱点を忘れている為何も変わらない。期待していただけに落胆も大きく、全員肩をがっくりと落とした。

 対照的に颯人は安堵に胸を撫でおろしている。奏が完全に忘れていなかった上にウィズがヒントを出した事で肝を冷やしたが、この分なら大丈夫そうだと安心していた。

 何しろ彼の怖い物は、普通に考えたら絶対辿り着かないものなのだから…………

「おぉ! 皆、ここに居たのか」

 いよいよ颯人の弱点を探る事については諦めるしかないかと思われたその時、食堂に弦十郎が入って来た。その腕には発泡スチロールで出来た箱が抱えられている。

「旦那? それ何?」
「海産物ですか師匠?」
「あぁ。さっきウィズから差し入れがあってな。これで皆に精を付けてもらえだそうだ」

 奏がもう一度さっきウィズが居た所を見ると、そこにはティーカップだけが残されてウィズの姿は影も形もなかった。

「おっさん、今あたしらそれどころじゃ……」
「まぁまぁ。それで司令、その中身は?」
「見て驚くなよ?」

 弦十郎はもったいぶる様に箱を開けた。

 その中には――――

「どうだ、いいウナギだろ? こいつを蒲焼にして――」
「うぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 箱の中には黒光りするウナギが無数に入っていた。それを見た瞬間、颯人は悲鳴を上げて食堂から逃げ去り、奏達はその姿に目を丸くした。

 突然悲鳴を上げて逃げていく颯人の後ろ姿を見て、奏はここで漸く颯人の弱点を思い出した。

「あっ、思い出した! 颯人の奴、ウナギが大の苦手なんだった」
「マジか!?」
「何で颯人さん、ウナギが苦手なんです?」
「あ〜……確かガキの頃、うな重食った時骨の処理が甘い奴に当たって喉に骨が刺さって豪い目に遭ったんだよ。その時からウナギが苦手になって……」

 まさかの弱点に奏以外の全員が目を丸くしたが、真っ先に笑みを浮かべたのはクリスだった。

「そうかそうか。あのペテン師ウナギが弱点だったのか。だったら……」
「でもウナギが弱点だと分かって、それでどう颯人さんを追い詰めるつもり? まさか常日頃からウナギを持ち歩く訳にもいかないでしょ?」

 やっと颯人の弱点が分かり喜ぶクリスだったが、直後に翼に正論を突き付けられ肩を落とす。翼の言う通り、流石にウナギを持ち歩く訳にはいかない。

 とは言え颯人の弱点が分かった
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