暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアG編
彼の弱点を探れ
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それでも鼠自体は傷付けないようにしている当たり、透の優しさが伺えた。

「止めろよペテン師!?」
「言っとくけど俺じゃないよ? そいつが勝手に入っただけだからね?」
「颯人が嗾けたんじゃないの?」
「違うよ、さっきのはネズ太郎。あれはネズノ介だよ」
「鼠の違いなんて分かるか!?」

 すかさずクリスは怯える透に近付き、彼を抱きしめ安心させようとした。完全に怯えた透は、自分を抱きしめてくれるクリスに涙目で縋りつき震えている。

 その弱々しい姿に、女性陣は全員ときめかずにはいられなかった。

「透君、なんか可愛い」
「これは確かに、庇護欲をそそられる。……雪音、羨ましいぞ!」
「うるせぇ!」

 クリス達が騒ぐ中、颯人は透の上着からネズノ介を回収しネズ太郎同様帽子の中へと放り込んだ。

「大丈夫大丈夫、もう鼠はいないから。マジでマジで」
「颯人がゴメンな。しっかり言って聞かせておくから」
「イテッ!?」

 一応原因の半分は自分にあるという事で、頭を下げた颯人の頭を奏が小突く。割と強めに小突かれたのか、頭を押さえる颯人の姿に透も少しは安心したのか怯えた様子がなりを潜める。

「しかし意外だったなぁ。透が鼠苦手だったとは」
「別に不思議でも何でもないだろう? クリスにお化けって言う弱点があるんだから」
「余計なお世話だ!」
「でも颯人さんにだって、苦手な物や怖い物の一つはあるんじゃないんですか?」
「ざ〜んねんでした。俺に怖い物なんてないよ」
「俄かには信じがたいですね」
「本当だって。俺に怖い物なんてない」

「ハンッ」

 次第に奏達の意識は颯人の弱点を探る事に集中し始めた。だが颯人はのらりくらりと奏達の追及を躱している。

 暖簾に腕押しの状況に、矛先は奏の方に移った。

「先輩! このペテン師の幼馴染なんだろ? 何か弱点とか知らないのか!」
「そうよ奏! この中で一番颯人さんに詳しいの奏なんだから!」
「どうですか奏さん!」

 クリス・翼・響の3人に詰め寄られた奏は、顎に手を当てて記憶の本棚を漁るがいまいちピンとこない。流石に子供の頃の話の上に離れていた期間も長かったので忘れてしまっていた。
 だが颯人にも苦手なものがあったという事だけは漠然と覚えていた。

「ん〜、何かあった筈なんだよ。それは間違いない」
「無い無い。怖い物なんてないよ」
「いや嘘だね。颯人にはまだ怖い物がある」
「何でそう言い切れる?」

 意固地になる奏に颯人だけでなく響達も何が彼女をそこまでさせるのかと首を傾げる。
 その疑問に答える様に、奏は食堂内の一方を指差しながら口を開いた。

「今、ウィズが鼻で笑ったのを確かに聞いた」

 奏の一言に全員が一斉にそちらを見ると、
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