暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアG編
彼の弱点を探れ
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それは突然やって来た。
「チュウ」
フロンティア事変も終わり、平和を取り戻した装者と魔法使い達。彼らが仮設から本格的な本部としての運用に移った潜水艦内部の食堂で駄弁っていた時、突如そんな鳴き声が颯人を除く一同の耳に入った。
特徴的なその鳴き声に、響が机の下を覗き込むとそこには案の定の存在が居た。
「あ、鼠!」
「何?」
「マジか!?」
「あれ? この鼠……」
響の声に全員が反応し一斉に机の下を覗くと、そこには確かに一匹の鼠が居た。白い毛並みの、一見小綺麗な見た目の鼠だ。少なくとも餌を求めて忍び込んだ野良鼠と言うより、誰かが飼っていた鼠が逃げ出したと言われた方が納得できる。
そしてこの鼠の持ち主に奏は一目で気付いた。
「これ颯人の鼠だ」
「え? 颯人さんって鼠飼ってるんですか?」
「あ、もしかして手品で使う?」
「そうそう。他にも猫とか鳩とか蛇とかもいるけど」
「大事な商売道具逃がすなよ――――!?」
奏が代表して手を伸ばすと、その鼠は勝手知ったると言った具合に慣れた様子で奏の手の上に飛び乗った。手に乗った鼠を机の上に乗せ、頭を指先で撫でてやると鼠は気持ち良さそうに目を閉じた。
その小動物特有の愛くるしさに、響と翼は目を輝かせた。
「お〜、可愛い!」
「確かに……これはなかなか……」
奏に懐いた様子の鼠に響と翼が興味を引かれる中、クリスは鼠から距離を取っている。その事に気付いた奏がそちらに目を向けると…………
「あれ? クリス何やって…………って、透どうしたんだ?」
何とそこでは透が怯えた様子でクリスの後ろに隠れていた。時折奏の方を見るが、直ぐに顔を引っ込めてしまう。
あまりにも何時もの透らしくない。奏が疑問を抱き首を傾げていると、食堂に颯人がやって来た。
「お〜す。奏、俺の鼠一匹いなくなったんだけどこっち来てねぇか?」
「こいつの事か?」
やって来た颯人に奏が手の上の鼠を見せると、彼は足早に近付き奏の手から鼠を受け取った。
「お〜! サンキュウ、助かったぜ」
「気を付けろよ。誰かに踏まれたりしたら一巻の終わりだぞ?」
「何気にさらっと怖い事言うなよ。ところでさ……」
さっきから颯人もずっと気になっていた。透とクリスがやたらと大人しい。その様子に颯人の嗅覚が匂いを感じ取った。
そう、楽しい事になる気配の匂いだ。
「……さっきから透とクリスちゃんは何であんなに静かなんだ?」
「さぁ?」
「さっきからずっとああなんですよ」
「うっ!? いや、これは……その……」
颯人達に指摘され、顔を強張らせるクリス。彼女らしくない様子に怪訝な顔をする颯人だったが、クリスの背後にいる透が気になった。
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