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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
用意される明日
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3ボールからボール球を二度も振らされたことで気持ちが逸っているはずのバッター。そこで一度捉えている球種を投じられたら食いつきたくなるのは目に見えている。
「あとは吉永が投げきれるかですね」
「菜々なら投げきれるよ」
「あぁ。あいつの実力ならこの局面でも投げきってくれるはずだ」
都内でも指折りの好投手である吉永。そんな彼女に向けられる期待は非常に大きい。そしてそれに答えてきたからこそ強豪校のエースとして君臨することができるのだ。
運命の第七球目。足が上がったと同時にソフィアが次の塁へと走り始める。そして吉永の右腕から放たれたカーブは高さ、コース、全てが完璧だった。
(よし!!決まった!!)
それを待ち構えていた園部は勝利を確信していた。ミットへ向かって急激な変化をしながら落ちてくる白球。彼女のウイニングショットを受け止めようと差し出したミットにそれが吸い込まれようとしたその時……
カキーンッ
リュシーのバットがそれを打ち砕いた。
「ライトォッ!!」
信じられないと言ったような目で打球の行方を確認した園部は大声でその方向を守っている野手へ指示を出す。大きな放物線を描いた打球。定位置よりも後ろへ位置していたライトが懸命に下がり打球を追いかける。
「まさか入るのか?」
「いや……ありえないだろ」
本部席で見ていた中でも最善の配球だった。そして最高のボールで応えたはずのエースだったが、打球はスタンドへと一直線へ向かっている。
「あれ?でも打球失速してない?」
「は?」
ライトスタンドに突き刺さるかと思われた打球。しかしそれは飛べば飛ぶほど弾道が低くなっている。
「菜々の球威が勝ったか」
「これなら捕れる」
フェンスなど気にしていられないとばかりに突っ込むライト。懸命に伸ばされたグローブ。しかし白球は無情にもそれに収まることはなかった。
ガシャンッ
フェンス上段に突き刺さる白球。それを追いかけた少女もフェンスに激突し、空を仰ぐように倒れ込んだ。
「あぁ……」
外野を転々とする白球。それを見てホームを守るように立っていた少女が膝をつく。そして三塁ベースを回った銀髪の少女がそれを見て走る速度を緩めながら最後のホームベースを踏んだ。
莉愛side
「まさか本当にコールドで決めるなんてな……」
空を仰ぎ見ながら顔を覆うライト。彼女を迎えに行くセンターとセカンドもその目にいっぱいの涙を溜めており、その場からなかなか動き出せずにいた。
「吉永さんのカーブを二度も捉えるなんてね」
「それもどっちも甘いボールじゃなかったもんね。打った方を褒めるしかないよ」
「これは何か対策
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