第四百三十八話
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第四百三十八話 紅茶もまた
今田先生は自分達が飲んでいる紅茶を見た、二人共今飲んでいるのはストレートティーで紅茶の本来の色である。
その紅茶についてだ、今田先生は言った。
「赤、紅ね」
「だから紅茶ね」
「ええ、その赤といえばね」
「血ね」
今日子先生は今田先生の言いたいことを察して述べた。
「赤といえば」
「そうよね、だったら私達は今ね」
「ワインは飲んでいないけれど」
「血をね」
赤故にというのだ。
「飲んでいるわね」
「そうなるわね」
今日子先生もそれはと頷いた。
「まさに。ワインの方が血を思わせるけれど」
「紅茶もまたね」
「赤だから」
「血ね、では彼女もね」
「好きでしょうね」
「そうね、紅茶を飲むと」
今田先生はさらに話した。
「美味しくてね」
「しかもよね」
「優雅な気分になれるわね」
「これがお抹茶だとね」
日本のこの茶ならというのだ。
「静かでね」
「侘び寂びのね」
「そうしたものを感じるけれど」
「紅茶は優雅ね」
「そうよね」
今日子先生もその通りと頷いた。
「そんな気分になるわ」
「特にこうしてテーブルに座って飲んでいると」
落ち着いてというのだ。
「そう思えるわね」
「本当にね、では今度ね」
「今度?」
「彼女と一緒に飲んでみようかしら」
紅茶をというのだ。
「どうかしら」
「悪くないわね。かつては戦ったけれど」
「彼女が血を吸わないのなら戦う理由もないし」
「それではね」
「一緒に飲んでもいいわね」
紅茶、それをというのだ。そうした話を朝にするのだった。優雅に飲む紅茶はこれ以上はないまでに美味いものだった。
第四百三十八話 完
2022・1・16
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