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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
(!閲覧注意!)かくしてアイドル対決は、阻まれる(後編A)
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傍から見れば、おかしな光景だろう。
彼女はただそこに立ち、目を瞑る。

「おや、どうされた?」
「…。」

近付いてくる蘆屋道満もまた、棒立ちな彼女を怪しむ。

「まぁ、よい。諦めがついたかやけになったかのどちらかでしょうが、葵殿にもここからご退場願いましょう。そうれ!」

投げつけたのは一枚の御札。
たかが一枚、されどそれは触れればたちまち身体が崩れる程の強力な呪いが凝縮されたモノ。
超高速で、真っ直ぐ飛ぶ御札。
しかし葵はそれを

「おお…なんと…!」

握り潰した。

「…なんだよこれ。こんなもんでボクを殺せると思ったのか。」

握り拳からは鮮血を思わせる真っ赤な液体がビタビタと滴り落ちている。
そして、彼女の青い瞳も、血のような赤に染まっていた。

「あなた…誰?」
「おや…雰囲気が変わりましたな。どうされましたか葵殿?」

雰囲気が変わった。
それは蘆屋道満も、そのマスターも感づいた。
そう、今の葵は葵ではない。

「葵…誰そいつ?」

彼女の持つもうひとつの人格、己のエゴが固まって出来たイレギュラー。
菫だ。

「ボクの名前は…菫だ。」
「わっ…」

そうすると、真誉の背後から何かが高速で飛来し、ギリギリのところで避ける。
それはとても大きく、重く、呪われたモノ。
菫の近くに刃をめり込ませ、それは持ち主の元へとやってきた。

「なにあれ!見てよ道満…!」

真誉が思わず驚愕する。
飛んできたのは、身の丈ほどはあろう巨大なチェーンソーだったからだ。

「これ?今からお前達をぶっ殺す兵器…」

重そうなチェーンソーを軽々持ち上げ、スターターロープを引っ張ると凄まじい産声をあげる。
エンジンのついた音ではあるのだが、それはあたかも人の悲鳴のようにも聞こえた。
あの日、傭兵の仕事の見学にて気に入ったから持ち帰り、紫式部に菫用にと特別にチューンナップしてもらった菫専用装備。
その名も

「『魔性絶対殺すチェーンソー』だ!!!!」

まじないが込められており、その刃に刻まれた妖はたちまち死に絶える。
多くの者の血を吸ったそれは今も尚呪われており、それは今菫の手に収まった。

「死ねェッ!!!」
「…!」

重いものを持っているとは到底思えない速さで接近し、真誉に斬り掛かる。
すんでのところで道満が前に出、御札を用いて阻もうとするも

「邪魔!!」
「ンン!!なんと!!」

防御の術式が刻まれた御札は一瞬にしてバラバラに、
そして道満の胸を掠めたのだが、鮮血が一気に迸った。

「これはこれは…拙僧、たかがチェーンソーなどと慢心しておりましたが、中々に恐ろしい呪具であったとは。」
「すごいだろ、これ。呪いを解かないなら
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