第二十一章 それでも顔を上げて前へ進む
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目が溶けるが先か、潰れるが先か、というほどの凄まじい爆発閃光であった。
だというのに揺れはごく微か、音もほとんど聞こえず、爆風はそよ風。
すべては直径数メートル、描かれた魔法陣の上でのみ、起きているのである。
原子陽子すらも粉砕され消滅しそうなほどの、凄まじい規模の大爆発、大獄炎が。
あまりにも静か過ぎて、
目の前のことであるのに、まるで映像を見ているかのようであった。
現実では、ないかのようであった。
「リーダー!」
「延子!」
「万う!」
でも、これは現実だ。
間違いのない、現実だ。
そう分かっているからこそ、みなは泣き、叫ぶのだ。
口々に、悲痛な絶叫を放つのだ。
爪が食い込み刺さるほどに、拳をぎゅっと握るのだ。
我孫子第二中の魔法使いたち、そして、カズミが。
第三中の治奈、祥子も、唖然呆然、ただ潤んだ瞳を震わせている。
目の前の大爆発に、そのもたらすであろう結果、訪れるであろう結末に対しての、己の無力さに、ただ、ぎゅうっと拳を握り締めている。
大獄炎も、やがて勢いを弱め、
すべてを溶かしそうな真っ白な光も、やがて消え、
魔法陣の上に、もうもうと立ち上っている煙が、ゆっくりと晴れていく。
魔法陣の包む空間の、外側を薄くこそいだのか、描かれた魔法陣は既に消えており、こそがれた分だけ床が磨き上げたかのように綺麗になっている。
その綺麗になった床に、人が倒れている。
泣き叫ぶ魔法使いたちの一縷の希望、それを無残に踏み砕く残酷な結末が、そこには待っていた。
倒れているのは、二人だけだったのである。
康永保江と、
昌房泰瑠、
この二人が、皮膚の半分が焦げて炭化した状態で倒れているのみ。
万延子の姿は、どこにも存在していなかった。
魔道着の、切れ端? ひらりひらりと舞い揺れながら、もともと薄水色だったであろう焦げた繊維が床へと落ちる。
床の上。棒状に、消し炭の粉末が敷かれた、その上に。
延子の、木刀……
「うあああああああ!」
「延子おお!」
第二中の魔法使いたちの慟哭が、さらに激しくなった。
膝を落とし、床を叩き、叫び、震えていた。
そんな中、涙をボロボロこぼしながらも、宝来暦は項垂れていた首を上げて、ぎろり睨み付けた。
倒れている、二人の魔法使いを。まるで、鬼の形相で。
「う……」
うつ伏せに倒れてい
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