第二章
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「親父は本当に古いんだよ」
「確かにいいですな」
弟も言ってきた、彼が飲んでいるのは麦茶である。
「日焼け止めは」
「お前もそう思うだろ」
「拙僧も姉者人が正しいと思いまする」
「お前色白好きだしな」
「アフリカ系の肌もいいですが」
それでもというのだ。
「アジア系ならばです」
「白い肌がいいからか」
「姉者人は正しいかと」
「全く、お前等もそう言うか。日焼けが怖くて野球が出来るか」
父はワインを飲みつつここでも憮然となった。
「そして営業で外を回れるか」
「親父、そう言って強い日差しに負けるなよ」
「最近はそれで目を傷めもしますしな」
「もう五十過ぎてんだし無理するなよ」
「夏を甘く見ては駄目ですぞ」
「ふん、わしはまだ若いわ」
父は息子達にも言われて余計に憮然となった、だが。
夏の間ずっと日差しに気を付けている娘に直接言われた。
「今度付き合ってる人連れて来ていい?」
「お前そうした人いるのか」
「普通科の同級生で野球部よ」
「それじゃあわしの後輩か」
「そうね、お父さん高校普通科だったしね」
「八条学園のな」
「大学もそうだしね」
八条大学でというのだ。
「後輩になるわね」
「学校も部活もな」
「そうね」
「それでその彼をか」
「お父さんに紹介したいけれど」
「お前もそんな歳か、母さんは知ってるんだな」
「もうね」
こう父に答えた。
「お父さんは反対しそうなんで言わなかったけれど」
「別に反対しない、如何にもという奴以外はな」
「如何にもっていうと」
「チャラチャラした奴や飲んだくれや暴力振るう奴やギャンブル狂いやニートや麻薬やる奴だ」
「つまり駄目人間ね」
「そんなのでないとな」
それならというのだ。
「わしもだ」
「何も言わないの」
「言うものか、家に連れて来い」
こう娘に言ってだった。
その交際相手と会った、彼は奇麗な目をして穏やかな雰囲気で真面目な身なりだった。それで話していることもまともで。
それでだ、父は母と共に娘に言った。
「いいと思うぞ」
「お話を聞いた通りの人ね」
「そのまま交際していけ」
「そうしなさい」
「何も言わん、しかしな」
それでもとだ、父は娘に言った。
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