第二章
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「ならば十字架を恐れる筈だ」
「それはそうですね」
「その通りですね」
「言われてみますと」
「神に仇なす悪魔と契約したのですから」
「それならばこの十字架をかけるのだ」
彼の首にというのだ。
「そのうえで魔女かどうか確かめるのだ」
「ではその様にします」
「あの娘の首にかけます」
「その様にします」
「そうするのだ」
こう言ってだった。
アイヴァンホーはレベッカの首に自分の十字架をかけさせた、すると。
何もなかった、アイヴァンホーはそれを見て言った。
「見ての通りだな」
「はい、確かに」
「十字架をかけても何も起こっていません」
「全く何も」
「これで彼女が魔女でないことが証明された」
確かにというのだ。
「ではこれでこの話は終わりだ」
「待て、そういう訳にはいかない」
ここで異論が出る者が出た、それは。
他ならレベッカを訴えた者達である聖堂騎士団の者達だった、彼等はアイヴァンホーに対して強い声で異議を呈した。
「我等も確かなものがあり訴えたのだ」
「娘は教会の前を素通りした」
「一瞥もせずにそうしたのだ」
「それこそ魔女の証」
「教会を意識しないなぞその証拠だ」
こう言うのだった。
「魔女は罰しなければならない」
「火炙りにするしかないのだ」
「十字架が通じないのは何かの魔術だ」
「それによるものに違いない」
怒って反論した、そしてだった。
どうしてもというのなら決闘で決めろと言い出した、そして騎士団は彼等の中で最も強い者を出してきた。
「ギルベール卿か」
「あの御仁は強いぞ」
「百戦百勝の猛者だ」
「騎士団最強の騎士殿だ」
「流石にアイヴァンホー殿でも勝てないぞ」
「流石にな」
ギルベールを見て多くの者が言った。
「到底な」
「これは無理だ」
「レベッカの無実は証明されない」
「やはり火炙りになるしかないか」
「相手が悪過ぎる」
「流石のアイヴァンホー殿も退くか」
「下手をすれば命が危ないしな」
決闘に敗れるとだ、それで多くの者が彼も流石に退くかと思ったが。
アイヴァンホーは毅然としてだった、こう言った。
「決闘を受ける」
「受けるのですか」
「そうされるのですか」
「そしてあの娘の潔白を証明されますか」
「そうする、私は彼女を無実だとわかっているからだ」
それ故にというのだ。
「無実の者が罰される様なことは許してはならない」
「左様ですか」
「ユダヤ人でも」
「それでもなのですね」
「ユダヤ人などということは関係ない」
一切という返事だった。
「確かに信仰は大事だ、だが無実の者が罰されることはあってはならない」
「信仰に関わらない」
「そうなのですか」
「決して」
「それは」
「そ
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