暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
エースの役割
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くるスプリット。私から見れば苦戦してもおかしくない相手だと思うけど、優愛ちゃん先輩はいまだに納得できずにいる。

「狙い球はストレートだよね?」
「だと思うよ」

初回に打っているからかストレートをとにかく振っていく日帝大。でもそれを打てば凡打になり追い込まれればスプリットで三振を取られる。まさしく手のつけようがないという表現がピッタリかもしれない。

キンッ

そして三人目も内野フライに倒れ三者凡退。強打が売りの日帝大がなす統べなく打ち取られていく。これには会場中がざわつき始めていた。

「なんで打てない……何かあるのか?」

なぜ打てないのかわからないことには対策ができない。莉子さんたちもその理由がわからずうんうんと唸っている。

『日帝大付属高校、シートの変更をお知らせします』

ブルペンからマウンドへと向かう背番号11。日帝大は三人目の投手として二年生の梅野さんを繰り出してきた。

「梅野さんってどんなピッチャーなんですか?」
「ストレートとスライダーを中心に攻める高校野球らしいピッチャーだよ」
「ストレートもそこそこいいんだけど、吉永と前山から比べると落ちるんだよなぁ」

来季のエースとして、そして三番手としてマウンドを任せられている梅野さん。彼女が相対するのは前の打席で満塁ホームランを放っているソフィアさん。

「ボール!!フォア!!」

大事な立ち上がり。いきなりの四球で出塁を許してしまう。ランナーを一人置き打席には主砲リュシーさん。

セットポジションになったことで制球が安定してきた。初球は打っても凡退にしかならないほどの完璧なコースへのストレート。続くボールはストライクからボールになるスライダー。リュシーさんは振りかけたバットを何とか止め、1ボール1ストライクとなる。

「莉愛ならどう攻める?」
「もう一球スライダー。さっきよりも高さを上げれば振ってくれそう……」

二球目のスライダーはワンバウンドするほど低めにコントロールされていた。これを見極められるのなら高さを甘くするしかない。ただし、コーナーは厳しく攻めなければならないけど。

園部さんは何を選択するのか見ていると、まさかのストレート。それもゾーンに入っておりこれをリュシーさんは振り抜く。打球が上がらなかったもののセンターとライトを真っ二つ。一塁ランナーのソフィアさんがフェンスまで到達した打球を見てホームまで駆け抜け、リュシーさんも三塁を陥れていた。

キンッ

続く蜂谷さんもライト前へと流し打ち。三塁ランナーのリュシーさんがホームへ生還しバットを拾い上げる。そして彼女が生還した途端、球場の雰囲気が一変した。

「なんかおかしくない?空気が……」

その異様な空気感にそんな声が漏れた。これまで桜華
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