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軽蔑
第三章

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 美佳は顔が風船の様に晴れ上がり瞼も開けられず色が赤や青になるまで殴られた。気絶してもそうされ。
 口に詰めものをされたので歯は折れなかった、だが。
 別人の顔になった、そして入院したが退院してもだった。家族に厳しい顔で告げられた。
「その顔で大学に行け」
「そんな、こんな酷い顔で」
「これがお前がしてきたことだ」
 兄は鬼の顔で告げた。
「これまでな」
「私こんなことしてないわよ」
「同じことをした」 
「こんな顔になって学校に行ったら」
「笑われるか」
「学校の行き帰りでも何て言われるか」
「それがお前のしたことだ」
 兄の顔は変わらなかった。
「人にあれこれ言って笑ってきたんだ」
「だから私はそんなこと」
「それをわかれ、だから毎日学校にもアルバイトにもその顔で行け」
「そんな・・・・・・」 
 父も母もそっぽを向いた、そして。
 美佳は無理に大学に行かされた、その途中。
「何あの顔」
「お化け?」
「酷い顔ね」
「人間の顔じゃないわよ」
「何があったか知らないけれど」
「ブスなんてものじゃないわね」 
 美佳の今の顔を見た行き交う人達の中にこうしたことを話す者がいた、それは大学でもバイト先でも帰り道でもだった。 
 美佳は毎日言われ続けた、それでストレスになり。
 毎日吐く様になり不眠症になり食べられなくもなった、日に日に痩せて。
 遂にまた入院した、今度は衰弱しきってだった。その病室で兄はベッドに横たわる彼女に対して問うた。
「これでわかったな」
「私が何をしたか」
「そうだ、わかったな」
「ええ・・・・・・」
 泣きながらだ、美佳は兄に答えた。
「これで」
「これが暴力だ」
 兄は妹に厳しい声で告げた。
「身体だけでなくだ」
「心も傷付けるのね」
「お前はこうしたことをしたんだ」
「あの時」
「その人がどんな人だったか知らない」
 兄の言葉は厳しいままだった。
「しかし誰に対してもだ」
「こんなことしたらいけないのね」
「いじめはな、これでわかったな」
「ええ」 
 涙がぽろぽろと零れる、その中でだった。
 美佳は頷いた、殴られた跡は次第になくなり元の顔に戻り衰弱しきった身体もストレスも癒された。そうして。
 美佳は退院してから復学した、もう彼女はいじめは絶対にしないと誓った。そのうえで大学生活を送り。
 就職もしそれから数年経ってだった、高校一年の時のクラスメイトの一人からスマートフォンで言われた。
「同窓会あるの」
「そうなの、今度ね」
 実家で暮らしながら職場に通っている、家に帰って夕食と入浴を済ませて自室でくつろいでいる中で話した。
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