第三章
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「是非にと言って頂いていますし」
「でしたら一つお願いします」
「共にこの世から去りたいです」
「そうしてくれれば」
「わかった」
ゼウスは二人の言葉を聞いて頷いた。
「それではな」
「はい、それでは」
「その様にお願いします」
「願いは必ず適える」
こう言ってだった。
ゼウスとヘルメスは去った、宿もと言われたがもうそれはどうでもよく二人の心を受けて満足したからよかった、そして。
翌朝老夫婦が起きるとだった。
村には大雨が降りあちこちに雷が落ちていた、二人はその状況を見てわかった。
「神々をもてなさかったので」
「失礼なことをしたから」
「罰を受けているんだな」
「そうなのね」
二人は大雨と雷に苦しめられている村人達を見てわかった、それでだった。
村人達に事情を話すと彼等も反省して言った。
「人には優しくしないと駄目だな」
「どんな人にも」
「さもないと報いを受けるな」
「今のわし等みたいに」
人や家畜や建物には雷は当たらないが村のあちこちに落ちて轟音を轟かせており大雨が家の中まで水びたしにする中で反省した、そして。
村人達は以後旅人達が来ると篤くもてなす様になった。その中で。
ある旅人が村に来ると村人達に村の外れにある壮大な神殿、ゼウスとヘルメスを祀っているそこに案内されてだった。
絶え間なくワインや水で満たされる壺で喉の渇きをいやしてもらってだった。
神殿の庭の木々にもいだそばから出て来る林檎や葡萄をご馳走になり飢えを満たされた。そうしてから村人達にこの村のことを話され。
神殿の玄関の両脇にある柏の木と菩提樹の木を見せられて言われた。
「この木達はその年老いた夫婦がいなくなりますと」
「生えたんですね」
「はい」
そうだというのだ。
「夫婦は暫くして神々がもうけてくれた神殿で神官をしていましたが」
「それが、ですか」
「ある朝急にいなくなり」
そしてというのだ。
「幾らでも水やワインが出る壺と幾らもいでも実る林檎や葡萄の木は神殿と共にありましたが」
「その二つの木達はですか」
「そうなのです」
まさにというのだ。
「その時からです」
「では」
「二人の神々への願いが適えられたのでしょう」
共に世を去りたいというそれがというのだ。
「その結果です」
「こうしてですね」
「木となり」
そしてというのだ。
「今はです」
「共にですか」
「神殿の門にいるのかと」
「そうですか」
「私達は過去の過ちを反省し神々の恵みと二人の徳を伝えています」
村人はこうも言った。
「その様にしてです」
「ここにおられますか」
「今も。そしてよければ神々を拝し」
神殿の中に入ってというのだ。
「二人のことも讃えて下さい」
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