暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第百十七話 社、三姉妹と競うのことその七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「だからそれが起こるから」
「じゃあこの歌も」
「終わるわ」
 その終わり方はどういったものかというと。
「私達の勝ちよ」
「兵隊さん達もこれで」
「完全に元に戻るわ」
「もうすぐなんですね」
 劉備はそのことがわかってだ。笑顔になって言う。
「皆が助かるのは」
「そうよ。それにしても」
 曹操は劉備のその天真爛漫な笑顔を見てだ。少し苦笑いになって述べた。
「貴女は勝つことよりも兵達のことが心配なのね」
「ええと。勝つことは確かにとても大事ですけれど」
「それでもなのね」
「はい。兵隊さん達が無事で勝てたら最高です」
「そういうことなのね」
「曹操さんは違うんですか?」
 逆にだ。劉備は少しきょとんとした顔になって曹操に尋ねた。
「兵隊さん達が無事なのは嬉しくはないんですか?」
「確かに大事よ」
 曹操もそのことは否定しない。
「けれどそれでもね」
「戦いに勝つことがですか」
「ええ。それが第一と思っていたわ」
 言葉は既に過去形だった。曹操が気付かないうちにそうなっていた。
「その為には必要ならね」
「兵隊さん達はですか」
「多くの犠牲も仕方ないと思っていたわ」
 軍略家としてだ。そう思っていたのだ。
「けれど貴女を見ていると」
「私をですか」
「甘いと思うわ」
 こうも言った。それは否定できなかった。
「それでもね。あえて兵達の心配をする」
「そのことがですか」
「違うわね。貴女みたいな考えには中々なれないわ」
 今度は優しい笑みになって言う曹操だった。
「けれどそういう貴女だから」
「私だから」
「何かができるのね」
 こう言ってだ。心の中で劉備を認めるのだった。彼女達は今はあくまで歌い続ける。
 そしてだ。その戦いが遂に終わる時が来た。歌い続ける社達のところにだ。
 朧が姿を現しだ。こう囁いたのである。
「すぐに陣に戻ってくれるかのう」
「何かあったのかよ」
「うむ、あの怪物共が現れた」
 そうなったというのである。
「そして連中の歌でじゃ」
「何だ?陣がとんでもないことになっておるのか」
「左様じゃ。兵達が次々に吹き飛ばされておる」
 歌によってだ。そうなっているというのだ。
「歌には歌じゃ。頼めるか」
「仕方ねえな」
 その話を聞いてだ。社は歯噛みしながら述べた。
 そうしてだ。オロチの同胞達に告げるのだった。
「おい、残念だがな」
「撤退だね」
「ここで」
「ああ、そうするぜ」
 こう彼等に告げるのである。
「忌々しいがな」
「仕方ないね。流石に陣を壊されたらね」
「戦いは負けよ」
 クリスとシェルミーはさばさばした感じで言う。
「それなら今はね」
「帰りましょう」
「今日のところは奴等の勝ちにしておくさ」
 
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ