第二章
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その上下グレーのジャージ姿で真里にこう言った。
「いやあ、この朝もね」
「いいんですね」
「飲み過ぎて頭痛いけれどね」
それでもというのだ。
「こうして朝歩くのもね」
「いいですか」
「大阪の街見ながらね、この汚さがね」
亜弥は笑って話した。
「いいのよ」
「汚くてですか」
「それがかえってね、どう見ても大阪って奇麗じゃないでしょ」
「そのイメージはないですね」
真里もこう返した。
「大阪には」
「そうでしょ、プラハだのパリだのと違うのよ」
「そうした街は奇麗さが売りですね」
「あとウィーンとかね。けれど大阪は」
亜弥は笑って話した。
「汚くてゴタゴタして活気に満ちている」
「それがいいんですね」
「建物は色々な形でまとまりがなくて道も幅も違っていて曲がりくねっていて」
「汚くて」
「そこがいいのよ、人もそうで飾ってなくて」
亜弥は笑いながら話した。
「人以外も色々歩いているのよ」
「犬とか猫とか」
「人が連れてね」
見れば朝から犬の散歩に出ている人がいて家の傍の壁の上には首輪を付けた猫が丸くなっていて眠そうな目をしている。
「烏も雀も鳩もいて」
「電線に幾らでもいますね」
「そうよ、あとうちの学校と同じで」
八条学園の様にというのだ。
「妖怪も多くて妖怪も飾ってないのよ」
「親しみやすいんですね」
「そうよ、例えばご近所に住んでいて」
亜弥はさらに話した。
「たまたま前を歩いているのよ」
「そうした街ですね」
「大阪はね、それでそんな大阪の妖怪の顔は」
「こんな顔かい?」
ここでだった、二人の前に。
江戸時代の町人の女の着物と髪型の女がにゅっと顔を出してきた、ただしその顔は骸骨そのものであった。
「ひょっとして」
「そうそう、そんな顔よ」
亜弥はその顔を見て笑って応えた。
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