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八条学園騒動記
第六百五十四話 マッコリにしてもその四

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「流石に今はもうないが韓国には官災があった」
「何だそれ」
「はじめて聞くよ」
 タムタムもフランツもこの言葉は知らず思わず聞き返した。
「官災?」
「聞いたことがないが」
「役人から受ける災厄だ」
 それだとだ、洪童は二人に話した。
「それはな」
「そうか、官吏から迷惑を受けるか」
「そういうことだね」
「今で言う公務員だな」
「その人達からだね」
「それが両班でだ」
 李氏朝鮮の支配階級であった者達だ、科挙によって成るものだがその科挙は特定の階級しか受けられれなかった。
「搾取に虐待にとな」
「やりたい放題だったな」 
 タムタムもこのことは知っていた。
「中央では政争ばかりで」
「政治そっちのけでな」
「政争ばかりだったな」
「そして地方ではな」
「搾取の限りだったな」
「それで農地も街もほったらかしでだ」
 そうした状況でというのだ。
「国は貧しいままだった」
「そこに搾取まであるとね」
 どうなるかとだ、ロミオも言った。
「それじゃあね」
「国は貧しいままだった」
「そうなるのも当然だね」
「それで春は餓えていた」
「そうした国だったんだね」
「そんな貧しい国で技術力もなく」
 今度はこちらのことを話した。
「針も塩も自力で作れず服を染めることもな」
「出来なかったんだ」
「桶も水車もなかった」 
 そうしたものもなかったというのだ。
「本当に貧しかった」
「そんな国から何を奪えるんだ」
 タムタムは本気で言った。
「一体」
「何もない国だった」
「何もないところから奪えるものはない」
 タムタムは言い切った。
「むしろだ」
「むしろか」
「官災なんて言葉があったことが凄い」
 このことについて言うのだった。
「確かに貴族や役人は民を虐げる」
「そうした話は何処にもあるな」
「だがそれが災害とまで言われる位とはな」
「それだけ多くて被害が大きかった」
「悪い役人が多かったか」
「それが両班だった」
 その彼等だったというのだ。
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