監視カメラ包囲網
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は風紀委員らしい。色々とアウトな面も多いことは、彼女にとっては頭が痛くなるのだろう。
「……紗夜さん、どうする? 警察に通報する?」
「……見なかったことにします」
「見つけました」
鈴音のその言葉に、ハルトと紗夜は、顔をモニターに近づけた。
「彼女ですよね。蒼井晶」
無数に並ぶモニター。その一つに、栗色の髪をした少女の姿が映し出されていた。何度も拡大を繰り返し、その姿がハッキリとしてくる。
だが蒼井晶の姿は、ハルトの記憶にあるものとは異なっていた。
綺麗に流されていた髪はボサボサになっており、右頬には大きな治療具を張り付けてある。桃色の髪飾りは無くなっていた。
だが。
「間違いない。彼女だ」
ハルトの確信に、紗夜も頷いた。
これまでの蒼井晶の接点は二回。
ラビットハウスにモデルの仕事として訪れたことと、そして見滝原ドームでサーヴァント、スイムスイムに襲われた後のこと。
「この日付は……先月か」
「私たちがヤマタノオロチと戦っていたころだよね」
可奈美もまた、モニターに表示される日数をそう断じた。
鈴音は「ヤマタノオロチ?」と首を傾げる。
「何ですかそれは? 先月のみなさん……ああ、そういうことですか」
鈴音はキーボードを数回叩く。
すると、晶が表示されているものとは別のモニターに、あの光景が映し出される。
干上がった湖。そして、ムーの戦士が開けた門。
それは。
「先月の見滝原公園です。干上がった湖にハルトさんたちが飛び込んでいったのは不思議でしたけど、もしかして」
「その話はあとで。それより、蒼井晶はこれからどこへ?」
「……」
むすっとした顔をした鈴音は、またキーボードを叩く。すると、見滝原公園を映したもの以外のモニターが書き換わっていく。
「あと、今ネットにある情報も確認しました。どうやら彼女は、一月末からモデルの仕事にも出ていないそうです」
「一月末……」
それはきっと紗夜にとって、忘れられない日だろう。
妹に嫉妬する少女と、同輩に嫉妬する少女。
彼女たちが、仮面の男トレギアに徹底的に利用された日。今この場にいない龍騎、そしてココアを選んだ光の戦士がいなければ、とてもあの場を切り抜けることなどできなかった。
「少し待って下さい……」
モニターの中の晶は、ハルトとぶつかった後、そのまま駆けていく。
やがて古いアパートに閉じ籠った彼女が出てくるまで、鈴音はモニターを早送りにした。
母親らしき女性が何度も出入りしているが、晶が出てくる様子はない。
やがて姿を現した晶。それまでどれだけ日が出入りしたか分からない。彼女は胸に抱えた荷物を持ったまま、どこかへと向かって
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ