第一章
[2]次話
早世は何が原因か
高見那奈は母の由奈から自分の親戚の話を聞いて顔を曇らせた。アーモンド形の目で茶色がかった髪の毛をかなり伸ばし前の方を額が見える形でセットしている。面長で細い眉と高い鼻も目立っている。背は一七〇程で胸も腰も目立っている。
「何か若くして死んだ人多いわね」
「戦死した人抜いてもよね」
「昔はね」
見れば二十代三十代で亡くなっている人も見受けられた。
「五十いった人もね」
「あまりいないっていうのね」
「戦争前はね、子供で死んだ人なんて」
それこそというのだ。
「物凄く多いわね」
「そうなのよ」
丸顔でアーモンド形の目の母が応えた、黒髪をパーマにしている。背は一六〇程で娘とはあまり遺伝を感じさせない。そうさせるのは目だけである。
「これがね」
「うち早死にの家系?」
「そうかもね。だからお母さんも気をつけてるし」
「私もなのね」
「健康には気をつけなさいよ」
「そうするわね」
那奈はこの時まだ高校に入ったばかりだった、それで知らないことも多かったがこの時自覚していなかった。
そのまま医学のことを知らないまま高校を卒業し大学は文学部に進み学校の教師と博物館の学芸員にだった。
図書館の司書の資格を得て通っている大学の図書館で働く様になった、その中でだった。
図書館の中にある本を整理している時に那奈は図書館の館長に言った。
「うちは理系の本多いですね」
「うちは理系も有名だからね」
「それで、ですね」
「理系の本も多いんだ、文系も理系もね」
どちらもというのだ。
「大切にしてこそだよ」
「いいんですよね」
「学問はね。どちらじゃなくて」
「両方ですね」
「そうだよ、それで医学の本もね」
これもというのだ。
「多いんだ」
「医学部もあるからですね」
「そうだよ、今高見さんが整理している」
初老の館長は話した、一七〇あるかないか位の背でセットしている黒髪には白いものが混じってきている。
「その本もだよ」
「医学の本ですね」
「そうだよ、戦前の日本の医療についての本でね」
「戦前ですか。そういえば」
那奈は館長の言葉に高校時代母との自分達の家系のことで気になったことを思い出してそのうえで言った。
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