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ドリトル先生とめでたい幽霊
第十一幕その九

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「言葉もそうなるで」
「そうなんだね」
「あと織田作さんの言葉作品のまま?」
「そのままの関西弁?」
「大阪の言葉だよね」
「そうだよね」
「これが大阪の言葉で今もやろ」
 織田作さんは笑って言いました。
「今は多少河内や和泉の言葉も入ってるけど」
「摂津の言葉だった?」
「本来の大阪の言葉は」
「そうなる?」
「そうなるな、しかし私が死んでから」 
 それからのこともです、織田作さんは言いました。
「大阪も色々あったな」
「そうですね、ですが」
「そのことをやな」
「ここで立ち話も何ですし」
 先生は織田作さんにお話しました。
「美味しいものでも食べながら」
「そやな、ほなな」 
 織田作さんは先生のお話を受けてご自身から提案しました。
「コーヒー飲みながら話そか」
「コーヒーですか」
「バーにも行ったけどな」
「東京で、ですね」
「銀座のルパンとかな、けど」
 それでもというのです。
「私はやっぱり」
「コーヒーですね」
「実は酒はあまり得意やないねん」
 そうだというのです。
「太宰さんや安吾さんとは飲んでたけど」
「甘いものお好きですね」
「そやからあそこにも行ったんや」
「夫婦善哉にも」
「そやねん」
 こう言うのでした。
「その実は」
「そうですね、それでは」
「コーヒー飲みに行こか」
 織田作さんは笑顔で言いました。
「これから」
「それでは」
 先生は笑顔で頷いて動物の皆もでした。
 笑顔で頷いてそのうえでお寺を出てです。
 喫茶店に入りました、するとお店の人も織田作さんを見て笑顔で席に案内してくれました。その席に座ってです。
 織田作さんはコーヒーを注文しました、先生と皆は紅茶でした。織田作さんは先生の注文を見て言いました。
「先生は英吉利の人やったな」
「はい、もう国籍は日本になりましたが」 
 先生はその紅茶を手に織田作さんに応えました、織田作さんの手にはコーヒーがあってそれぞれの香りがします。
「ですが」
「生まれはあちらやさかい」
「それでコーヒーも飲みますが」
「一番は紅茶やな」
「それもミルクティーです」
 見れば先生の紅茶はそちらです。
「これがです」
「一番ええな」
「僕にとっては」
「そやねんな、それ先生に話したいことはな」
「はい、何でしょうか」
「私と大阪のことや」
 こちらのことだというのです。
「私は知っての通り今は幽霊や」
「そうですね」
「東京で新年早々亡くなったけど」
 それでもというのです。
「大阪に連れて帰ってもらってお葬式もしてもらって」
「そうしてですね」
「大阪にお墓建ててもらってな」
 そうしてというのです。
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