第四百九十二話 地獄の訓練その九
[8]前話 [2]次話
「いいな」
「よく食べてよく寝る」
「それが大事だ」
まさにというのだ。
「いいな」
「じゃあこのお肉も食べる」
こう言ってだった。
魔王は実際にその肉を食べた、その肉を見てだった。
二ノ宮はどうかという顔でこう言った。
「この肉は霜降りだが」
「高価なお肉だね」
天空寺はすぐにこう応えた。
「それはまた」
「いや、それがこちらの世界だとな」
「違うんだ」
「かなり安いというかな」
「正直捨てる様なお肉だよ」
ワニベが言ってきた。
「そんなお肉は」
「そうだな」
「二ノ宮君が好きなものってね」
「この世界だと捨てる様なものもあるな」
「そうだよね」
「滅茶苦茶美味いんだぞ」
二ノ宮は霜降り肉について強い声で語った。
「本当にな」
「いつもそう言うね」
「そして実際に美味いだろ」
「そうかな」
「別に、ですね」
ワニベだけでなくシアも首を捻った。
「霜降り肉は」
「こんなものかな、って感じだよね」
「普通のお肉の方が美味しいですね」
「そうだね」
「俺は美味しいと思うよ」
天空寺は自分の好みから述べた。
「すき焼きにしてもね」
「すき焼きはこの世界にもありますが」
シアは天空寺のその言葉に応えた。
「ですが」
「それでもなんだ」
「はい、すき焼きにしましても」
「やっぱり霜降りでない」
「普通のお肉です」
こう天空寺に答えた。
「これが」
「そうなんだね」
「もうそれは文化の違いですね」
食文化のというのだ。
「やはり」
「私は食べる」
リムは無表情で言ってきた。
「霜降りでも」
「リムはそうなんだね」
「そう、美味しく食べる」
天空寺にその表情で答えた。
「事実好き」
「こいつは何でも食うからな」
ここで二ノ宮が言ってきた。
「また別だ」
「何でもじゃない」
「実際そうだろ、だが霜降りが捨て値で帰るのはいい」
二ノ宮はこのこと自体をよしとした。
「お陰で美味いものがふんだんに食える」
「二ノ宮さんは節約するところは節約しますね」
シンディはこのことを指摘した。
「今も」
「収入があっても金は置いておくことだ」
「いざという時に備えてですか」
「そのことも気をつけないとな」
「駄目だからですか」
「気をつけている」
実際にというのだ。
「金の為にな」
「そうですか」
「他にも俺が好きで安いものはな」
確かに収入はかなりある、二ノ宮自身そのことは認識しているがそれで油断したり慢心したりはしないというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ