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ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね(お試し版)
五話「走れ、メラゴースト」
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。メラゴーストの耐久力は駆け出しの冒険者があっさり倒せるほど低いのだから。

 

「「自分同士で叩き合って両方死んだとか、シャレにならないっと」」

 

 今度は俺も向こうの俺も打撃を避けるが、先ほどのぴょいんと跳ねる回避ではない。だからか、分裂も起こらず。

 

「「これ、意外に難しい」」

 

 うむむと俺達は揃って唸る。

 

「「作戦を変えよう。足を止めて殴り合ってたらアバンにも追い付けない。走ってさっきの再現を狙ってみよう」」

 

 唯一の成功例は自分からの攻撃ではないのだ。俺達は同時に頷くと、また移動を再開する。

 

「ぶべっ」

「うわっ」

 

 その結果が解かれたのは、横並びで走っていたからだ。横手から伸びた木の枝は先に増えた方の俺に当たって、それを見たからオリジナルの俺は何とかぴょいんと身を躱せた。

 

「ぐっ」

「「大丈夫か?」」

 

 俺と新たに増えた俺の声が被る。

 

「あ、ああ。何とか。だが、今ので俺は結構ボロボロだわ」

「「そうか、なら新たに増えた俺を残しておく、お前は休んでて」」

 

 せっかく増えたのにここで死なれては何の為に増えたのかわからない。

 

「アバンのところには俺がゆく。首尾よく仲間にして貰えたなら、お前達も仲間にして貰えないか頼みこんでみる」

「「そうか。だが、失敗して勇者が俺達まで倒しに引き返してくる最悪もあるよな?」」

「確かに」

 

 増えた俺達の指摘もまた至極もっともだ。

 

「「故に、ここで別れよう。俺達は保険としてもう一匹か二匹増えてから幾つかに別れる。全滅だけは避けたい」」

「わかった」

 

 俺達の言うことも至極もっともだった。

 

「だが、最後に言わせてくれ。全部俺だと紛らわしい。そこで俺達の間ではアルファベットでお互いを呼び合わない? 古い方から、A、B、Cと言うように」

 

 幸いと言う訳ではないが、現時点で二匹目の俺はそこそこのダメージを負ってヘロヘロで今なら見分けがつく。

 

「「お前の言うことももっともだ、A。けど、別れた先で俺達が増えたらアルファベットが被るよ?」」

「別れた後は数字を増やしていけばいい。Bの増えたモノなら、B1、B2みたいにな」

「「なるほど」」

 

 BとCはポンと腕を打つが、あいつらも俺なのだ。数秒もすれば同じことに思い至っただろう。

 

「それじゃ、お互い生き延びよう」

「「うん」」

 

 こうして俺は生き延びるために増えた自分達と別れたのだった。

 
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