第三章
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「動けなかったけれど」
「その時のその娘によね」
「この子、カジュがずっと寄り添っていたのよ」
黒い蝶ネクタイの雄犬を見て話した。
「そうだったのよ」
「そうよね」
「それでね」
「二匹一緒に保護したのよね」
「そうしたらカジュはずっとカスターニャの横にいてね」
「寄り添っていたそうね」
「カスターニャを救急車に乗せたら中に入ってきて」
その救急車にというのだ。
「それでね」
「寄り添ってくれたのよね」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「診察を受けて腰の骨が骨折していて治療を受ける間も」
「傍を離れなかったのね」
「一時もね」
そうだったというのだ。
「本当にね」
「そうした子だったのね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「カジュはね」
「そっくりだけれど兄妹かしら」
「そうかもね」
アスンソンも否定しなかった。
「そっくりだから」
「そうよね」
「けれどそれを抜いてもね」
「二匹の絆は強いから」
「だから一緒に引き取ったのよ」
そうしたというのだ。
「私がね」
「あんまりにもいつも一緒にいって」
「お互いを見て心配しているから」
「だからなのね」
「里親を探しても離れ離れにしたら可哀想だから」
そう考えてというのだ。
「それでよ」
「そういうことね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「これからもね」
「その子達は一緒ね」
「そう、ずっと一緒よ。貴方達もそうでいたいわよね」
「ワンッ」
「ワンワンッ」
二匹はアスンソンの言葉にその通りという風に尻尾を振って応えた、その彼等の頭を撫でてだった。
アスンソンは笑顔でだ、二匹にさらに言った。
「貴方達は何があっても私が一緒にいられる様にするから」
「神様に誓うわね」
「ええ、今誓うわ」
友人にも応えた、そうしてだった。
二匹にご飯をあげた、すると二匹は寄り添い合って仲良く食べた。その姿には何があっても離れない絆が見られた。
友達を見捨てない犬 完
２０２２・３・２７
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