第二部 1978年
ミンスクへ
シュミットの最期 その3
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ながら、総領事の待つ部屋に向かう
領事室に入ると、執務机の椅子に腰かけた総領事の姿を一瞥
体が気怠い
眠気で、頭が今一つ冴えぬ彼は、休めの姿勢で待つ
顔を上げた総領事は、彼に向かって尋ねる
「何をしていたのだね……」
開口一番、こう伝える
「奴等の首領にあった」
総領事は、机に両手を置くと、それを支えにして立ち上がる
驚きの声を上げた後、再び問うた
「議長と会っただと……」
そう問われると、室内にある革張りのソファーに腰かける
体を斜めにして、男の方を向く
「ソ連占領地での暮らし……。
ドイツ民族至上主義という危険な爆弾が湿気る様では詰まらぬ。
活力を与えるために、少しばかり《カンフル注射》をしたのよ」
右手で、金属製のガスライターを取り出す
口にタバコを咥えると、火を点ける
「楽しみに待つが良い……。
一度連中は火が付けば、暴走した民族主義は簡単に止められぬからな」
紫煙を燻らせると、哄笑する
男は、憮然とした態度で、こう云った
「君は、ソ連大使館に連れ去らわれたと言う話を聞いていたが……。
それがどういう訳で、行方の知れぬ国家評議会議長の所に行ったのだね」
「俺が持てる力の一端を、用いた迄よ。
次元連結システムの一寸した応用だ」
机の上に有る灰皿に、灰を捨てる
「詳しい話とやらは篁辺りに聞くのだな。
クドクドと説明するのは飽きた所だ」
男は、彼の頬に張られた絆創膏を見る
「その傷は……」
斜に構えて、男を見る
「KGBからの手土産さ」
彼は椅子から立ち上がる
「帰らせてもらうぞ」
そう言うとズボンの側面ポケットに両手を突っ込み、背を向けて歩き出す
右手でドアを開け、部屋より出る
後ろから見つめる男を振り返ることなく、立ち去って行った
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