五十八 断たれる命脈
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謝礼の意を込めた返答を返した角都は、胸部に刻まれたお面を見下ろす。
生身の心臓がある胸部に刻まれた能面。
その面は【火遁・頭刻苦】の術を用いていた【地怨虞】の分裂体である面であり、ナルトによって角都の精神が心転身させられていた代物だ。
角都としても、一応予防線は張っておいたのだ。
カカシと再不斬の【水遁・水龍弾の術】によって倒された分裂体。
火遁を使うその能面はしかしながら砕けず、まだ死んでいなかった。
その面をナルトが用いたことで生き永らえた角都は、サソリの真に迫った忠告に了承を返した。
「坊と俺に感謝するんだな」
「わかっている」
歴代最強の風影と謳われ、今やサソリの傀儡と化した三代目風影─────否、角都は変わり果てた己の体躯を改めて見下ろす。
練り込んだチャクラを磁力に変える血継限界・磁遁もどうやら扱えるようで、その使い手になれたのならば、此度の木ノ葉の忍びとの戦闘も無駄に終わらなかったと言える。
まぁ、それはそれとして雪辱は果たす、と無表情だった人形の顔に微かに芽生える角都の感情を見て取って、デイダラがひゅうっと口笛を吹いた。
「前よりずっと男前になったじゃねぇか!よかったな、うん」
「殺す」
デイダラの歯に衣着せぬ発言に、ピキリと三代目風影の顔に青筋が立てられる。
しかしながら「…まぁ、確かに端正な顔立ちになったな」とサソリまで言い出す始末で、そんなにも己の素顔は酷いものだったか、と若干傷つく角都だった。
以前よりずっと表情豊かになったのは間違いない傀儡と、それを造った傀儡師。
創造主と人形である、サソリと角都、そしてデイダラをそれぞれ見渡し、ナルトは「さて、」と口火を切った。
「サソリ・デイダラ・角都……お前たちは今から俺に、」
ナルトの何の前触れもない発言に、三人はギクリ、と身を強張らせた。
それは『暁』で頻繁に交わされる言葉だったが、先ほどデイダラに角都が告げたものよりずっと重みがあり、冗談にも取れない。
純粋で何の気もなく、軽く告げられた。
何の前兆もない宣告だった。
「殺されろ」
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