五十八 断たれる命脈
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珍しいナルトの誉め言葉に、虚を突かれたような顔を浮かべたサソリは、照れ臭さを誤魔化すように、ふん、と鼻を鳴らす。
「お前に褒められても嬉しくもなんともねぇよ、坊」
「ナル坊!オイラは嬉しいぜ、うん!だから旦那なんかじゃなくてオイラを褒め…いてっ」
「調子に乗るな、デイダラ」
何もしてないのに割り込んできたデイダラをサソリは蹴り飛ばす。それを横目に、ナルトはサソリの仕事ぶりの成果であるソレを見上げた。
命を持たぬ傀儡。
十年以上も前、消息不明となっていた三代目風影。
八方手を尽くしたが見つからなかった、かつて歴代最強と謳われた砂隠れの里長。
以前、チヨ婆と山中いのとの戦闘にて使用し、破壊されずに無事巻物に収容したサソリのコレクションのひとつである。
サソリに殺害され人傀儡となった命を持たぬソレの双眸が、勝手に開く。
サソリがチャクラ糸で操ったわけでもなく、自然と開眼した三代目風影の人形は、ナルトの顔を見るなり、溜息をついた。
「手荒な真似をしてくれたな、ナルト…死ぬかと思ったぞ」
「いや、フツー死ぬだろ。心臓抜かれちゃ、うん」
「坊だから出来た芸当だ。核である心臓と精神が無けりゃ、いくら俺でもてめぇを『人傀儡』に出来なかったぜ」
物言わぬ人形が急に喋っても物怖じせず、むしろうんうん、と頷くデイダラの隣で、サソリは今し方手掛けた己の作品を見上げる。
【心転傀儡呪印の術(しんてんくぐつじゅいんのじゅつ)】
『呪』と書かれた札を貼ったトラップ人形に攻撃した者を人形に強制的に心転身させ、術者が相手の身体を乗っ取ることができる呪印型の心転身の術。
それの応用として、角都の心臓を抜き取る直前に、【地怨虞】の分裂体である能面に角都の精神を、ナルトが強制的に心転身させたのだ。
傀儡人形を器とすることで復活を果たした角都の今の姿を、サソリは不備がないか、念入りに点検する。
己の芸術として、心血を注いだのが『人傀儡』。
傀儡にした人をコレクションし、芸術作品の一つとする事が、サソリにとっての『永久の美』である。
だからこそ、ナルトが持ってきた角都の心臓と、精神が宿った能面を『人傀儡』にするという無理難題に、サソリの傀儡師としての血が騒いだのだ。
芸術家としても傀儡師としても造形師としても食いつくだろうというナルトの意図がそれとなくあったし、自身も利用されたとは察していたが、それ以上に造ってみたいという興味から、三代目風影の傀儡を活用したサソリは、新たな『人傀儡』…否、角都に釘を刺した。
「俺のとっておきをくれてやったんだ。無碍に扱うんじゃねぇぞ、角都」
「…ああ」
サソリに借りを作ったことは癪だが、身体が無ければ何もできないことも事実。
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