五十八 断たれる命脈
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ありありと目に浮かんで、影分身ではない本物のナルトはくつり、と笑みを零す。
波風ナルを気絶させ、角都の心臓を抉り、カカシやヤマトと対峙したのも。
生き埋めとなった飛段を掘り返し、シカマルを始めとした十班と対面したのも。
どちらも影分身であり、白と共に鏡の中で双方の戦況を俯瞰していた本物のナルトは「それより、」と白を促した。
「再不斬達のほうも上手くやったようだし、合流しようか」
各々の戦況の引き際を見極め、影分身に退かせた張本人に、白は「…意外でした」と聊か怪訝な表情を浮かべる。
「貴方なら、彼女のほうへ向かうと思っていたので」
白の言葉に、一瞬キョトンとしたナルトは、ややあって軽く顔を伏せる。
角都側である波風ナルのほうへナルトならば行きたかっただろうに、何故あえて影分身に行かせたのか。
白の疑問に俯き加減に苦笑するナルトの頭上に、聞き慣れた声が降ってきた。
「そりゃ、手心を加えてしまうからだろーが」
いつの間に来たのか。
鏡の術を解除し、鏡から抜け出したのを見計らったかのように掛けられた声に、白の肩がビクっと跳ねる。一方、とっくに相手の気配を感じ取っていたナルトは、何の前触れもなく声を掛けてきた相手へ平然と労いの言葉を返した。
「ご苦労様。水月のほうも上手くやってくれたのかな?」
「おう。俺の水分身がいるんだぜ?当然だろ」
角都との戦闘を経て、カカシを始めとした木ノ葉の忍びから見事逃げ切り、更に【根】に潜入した水月を逃がした水分身の本体──再不斬が、ナルトの影分身と共に降りてくる。
頭上の大木の枝から降ってきた二人の姿を認めて、一瞬身構えた白が警戒態勢を解いた。
「驚かさないでくださいよ、再不斬さん」
「そいつは驚いていないがな」
己の接近に逸早く気づいていただろうナルトを顎で指し示しながら、再不斬は確信めいた言葉を投げる。
「そんなことないさ」と笑って返したナルトは、音もなく近づいてきた再不斬ではなく、彼の的を射た発言に驚いていた。
再不斬の見解通り、角都側にも飛段側のほうにも、己自身ではなく影分身を行かせたのは手心を加えてしまう自身を自重する為。
ナルのところへ行ったら彼女に肩入れしかねないから、あえて影分身に行かせたのだ。
ナルに対してもシカマルに対しても手心を加えてしまうのを防ぐ為、あえて自分本人は行かなかったナルトは、気を取り直して影分身から目的のモノを受け取る。
忽ち掻き消えた影分身の名残である白煙を眼で追いながら、ナルトは白と再不斬に向き合った。
「それじゃ、もうひとりの影分身の指示に従って行動してくれ。俺はまだ野暮用がある」
今回の件の片割れ。飛段側のほうにいる影分身もまた、ま
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