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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第百十六話 小次郎、仇を取るのことその三
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「近藤勇さんだったよね」
「虎徹だったな」
 甘寧は彼の持っていた剣のことに言及した。
「剣だけでなくかなりの腕前だったそうだが」
「そうだ。人間的にも器の大きな方だった」
 鷲塚の目が遠くを見るものになる。そうしてだ。
 そこに悲しさも漂わせてだ。こんなことも言ったのである。
「だが。無念だったろう」
「何か話を聞いたらあれだよね」
 馬岱もだ。目を伏せさせて応える。
「幕府は潰れて。その近藤さんも」
「切腹ならよかった」
 それなら納得できたとだ。鷲塚は述べる。
「しかし。首を斬られるとは」
「武士の世界では屈辱だったな」
 甘寧もその話を聞いていた。あちらの世界の武士のことを。
「切腹ではなく首を斬られることは」
「武士は切腹することが名誉だ」
 実際にそうだとだ。鷲塚は言い切る。
「あれだけの方がそうなるとは」
「世の中って。残酷だよね」
「時としてな」
「儚いものだ」
 鷲塚はその世界についてこうも言う。
「だがそれでもだ」
「誠はあるんだ」
「その惨く儚い世においても」
「誠が消えることはない」
 また断言する鷲塚だった。
「例え何があろうともだ」
「その通りだ」
 このことは小次郎も同意して頷く。
「私にはないものだがな」
「それがどうしてもわからないがな」
「蒲公英もね」
 二人にはどうしてもわからなかった。小次郎がその様なことを言うのか。だが小次郎はそのことについて何も言うことなくだ。見回りを続けていくのだった。
 その時は何も見えなかった。しかしだ。
 小次郎はその中でもだ。険しい顔で呟くのだった。
「必ずいる」
「あの男がですね」
「そうだ、いる」
 見回りが終わった時にだ。響に言ったのである。
「私は見たのだ。あの男を」
「死して尚も出てくるということは」
「間違いなくあの力だ」
 二人の脳裏にだ。刹那の闇が浮かんだ。
 その闇を感じ取りだ。小次郎はまた言った。
「若しそうだとすれば」
「その時は」
「闇をここで払う」
 そうするというのだった。
「必ずだ」
「わかりました。では私もまた」
 小次郎の言葉を聞きだ。響もだった。
「及ばずながら」
「力を貸してくれるか」
「はい」
 こくりと頷きだ。響は小次郎の言葉に応えた。
「そうさせてもらいます」
「済まない。しかしだ」
「しかし?」
「あの男が一人なら」
 その場合はというのだ。
「私は一人で闘う」
「そうしてですね」
「斬る」
 一言でだ。こうも言い切ってみせる。
「私のこの手でだ」
「新撰組の裏切り者をですか」
「そうだ。そして」
 響の声にだ。何かが宿った。
「仇を」
「仇?」
「あっ、いや」
 言ってしまったことに気付いてだ。即
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