第19話 旅立ち
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きました。
あの時の袁逢殿の号泣姿に、私は引いてしまいました。
私はこれからもずっと麗羽と一緒に戦乱の世を生き抜くと誓ったのです。
あの時、袁逢殿に頼まれずとも、麗羽を守りたいという想いに変化などありません。
でも、あの時の袁逢殿の言葉で自覚を持つ事は出来た気がします。
袁逢殿は私と麗羽が旅に出る当日、態々見送りに来てくれました。
忙しい人なのに、麗羽のことがやっぱり心配なんですね。
それに比べ、私のお爺々様と姉上は・・・。
「蔵人達には、儂は元気じゃと伝えといてくれ」
「父上達に、元気でやっていると伝えといてね」
もう少し、旅に出る私に対していう言葉があるように思います。
「普通、かわいい孫や弟が旅に出るといったら心配するものじゃないですか」
私は溜め息混じりにお爺々様と姉上に言いました。
「正宗の強さは規格外じゃから、心配いらぬじゃろ。賊の方が逃げると思うぞい」
「私もお爺々様の意見に同感。正宗なら心配ないわね。心配なのは逆に麗羽よね。許嫁なんだから、ちゃんと守ってあげなさいね」
この2人の言葉に私は意気消沈してしまいした。
「劉ヨウ殿、麗羽のこと確と頼みましたぞ。これは些少ですが、路銀の足しにでもして下され」
袁逢殿は私にずっしり重い袋を渡してきました。
「こういう物は受け取れませんよ」
この重さからして、かなりの金額です。
流石に、こんな大金は受け取れません。
路銀なら、地道に山賊狩りでもして、稼げばいいと思っています。
その方が、その土地の情報も手に入れやすいでしょうから。
「な、なんと!私の金など、受け取れないというのですか!ひ、酷すぎますぞ!私は劉ヨウ殿と麗羽の旅の助けにと持参したのですぞ!」
袁逢殿は号泣しながら、私に顔を近づけてきます。
ちょ、ちょっと袁逢殿、顔が近いです!
「叔父様、正宗様が困ってらっしゃいますわ。正宗様もここは叔父さまの顔を立ててくださいませんか?」
麗羽が袁逢殿との間に入ってくれました。
ふーーー助かりました。
「・・・ああ。分かったよ。袁逢殿、有り難く頂戴いたします」
「おおっ、受け取ってくださいますか!ささ、どうぞ遠慮なく受け取ってくだされ」
袁逢殿は笑顔になり、私に餞別のお金を渡してきました。
「徒歩の旅はきついと思い、涼州産の馬の4頭用意しましたぞ。気に入ってくだされば嬉しいです」
袁逢殿は胸を叩いて、袁家の家人に馬を引かせてきました。
流石は、汝南袁氏といったところでしょうか・・・。
太っ腹ですね。
「わざわざ、涼州産の馬を用意していただかなくても普通の馬で十分でしたよ」
「
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