第二部 1978年
ミンスクへ
シュミットの最期 その2
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
飛び方さえ気を付ければ、あと2時間ぐらいは大丈夫であろう
「格闘戦は避けろ、集団で叩け。
繰り返す、集団戦で叩け。
以上」
硬く強固に見える戦術機……
乗りなれれば判るが、恐ろしいほど脆い機体
対戦車砲や対戦車地雷で吹き飛ぶ装甲板
どの様に優秀な衛士が乗っていようと数を持って対応すれば、必ず落ちる
地獄のウクライナ戦線で嫌というほど見せつけられてきた……
引き付けた一機以外は、集団で叩けば初心者でも勝てる筈
一人でも多く、僚機を返さねば6月のパレオロゴス作戦に影響する
再び機種を上げ、上空に向かう
ウクライナの戦場から遠く離れたベルリンは、幸い光線級の影響もない
急加速し、高度を上げる
深夜だったのが幸いした……
日中であればカヌー遊びに興じる観光客であふれていたであろう
後ろから追いかけてきた敵機の背後に回り込むことに成功
開いている左手に、突撃砲を移動
兵装担架より長剣を、右手で掴む
左手の突撃砲を担架に乗せ、もう片方の長剣を受け取る
一瞬の隙を見て、両腕の連結部を破壊
薙ぎ払う様にして、跳躍ユニットを正確に切り取った
下は湖だ……
上手く行けば不時着、生け捕りに出来る
落下する機体を見ながら、彼は残る3機の対応に向かった
空中で再び突撃砲に換装するとヴィルドパークの方角に向かう
対空砲火が上がっているのが見える
ヴィルドパークを超えれば、ポツダムの人民軍参謀本部だ
ここで死守しなければ、この国の中枢機能は瓦解する
彼は再び通信を入れる
「こちら第40戦術機実験中隊、どうぞ」
無線の混信が有ったと返信が入った
「こちら、第一戦車軍団……、友軍機か」
「対空砲火を下げてくれ……」
通信をしている間に、背後に一機付く
猛スピードで機体全面を後方に向ける
火器管制のレバーを手放す
「ユルゲンか。脅かすな」
背後に来たのはベルンハルト中尉
彼が率いた中隊12機が続けて飛んでくる
危うく友軍射撃を受けそうになっただけではなく、友軍機撃墜の可能性もあり得たのだ
アフターバーナーの火力を調整し、ゆっくりと着陸の姿勢に入る
既に地上で、ハンニバル大尉達が待つ姿を視認した
難なく着陸すると、管制ユニットより降りる
機内より持ってきた陸軍の防寒着を着こみ、ベルンハルト中尉達の傍まで行く
綿の入った防寒電熱服……
着心地が悪く、重い為、ウクライナ帰りの古参兵達は誰も着ようともしなかった
ユルゲンに至っては戦闘機乗りの証である濃紺のフライトジャケットを着ていた
この男は、自分同様宇宙飛行士になるのが夢であったのを思い出した
翼をもがれても猶、空への夢は諦めきれぬのであろう
しばらく、雑談をしながらタバコを吹かしていると司令官と数名の男
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ