第二部 1978年
ミンスクへ
シュミットの最期 その2
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出来かねます。
核攻撃を恐れるなら、何のためにパーシングミサイルが西ドイツにあると言うのですか」
副大統領は、CIA長官を宥める
「君は、そのゼオライマーとやらに心酔していると聞く。
たかがその様な高価な玩具の為に、合衆国市民の権益を害するようなことは認められぬ」
CIA長官は押し黙る
男の意見に不満があるのか、肩で息をして、落ち着かない様子であった
葉巻を灰皿から掴むと、シガーカッターを取る
立ち消えした葉巻の焦げた部分を切り取り、新たに火を点け、吹かす
「君が、立ち遅れている戦略航空機動要塞開発計画を進めるためにゼオライマーの新技術を欲しているのは分かる。
だが、どの様に優れた機械であってもBETA退治だけにしか役に立たなければ、それは所詮高価な玩具でしかないのだよ」
黒ぶちの老眼鏡を右手で持ち上げる
「シュタージの閻魔帳でも一式持ち込む事さえ叶えば、君が計画は考えてやっても良い」
「ご約束頂けるのであれば、今回は諦めましょう」
整った黄髪の頭を、彼の方に向ける
「君がそれほどの覚悟であるのなら誓紙の一つでも書こう」
CIA長官は事前に用意したタイプ打ちの文書を男に渡す
麗麗しく飾り立てた字を書き記すと、CIA長官に投げ渡した
「この件はこれで終わりだ」
一方、東ベルリンの市街上空では激しい戦闘が繰り広げられていた
上空を哨戒していたヤウク少尉率いる小隊12機は、4機の所属不明機と遭遇
20o突撃砲の射撃を受けると散開し、距離を取る
機種は、MiG-21バラライカ
射撃戦が一般的な戦術機で、長剣装備……
彼の記憶が間違いなければ、対人戦に特化したソ連のKGB直属部隊
丁度、自分も二本、刀を積んでいる……
ヤウク少尉は、絶え間ない射撃の間隙を縫って、高度を下げる
テンプリン湖上を勢いよく飛ぶ
衝撃で舞い上がる波しぶきが機体の両側に打ち付ける
背後に臨むサンスーシ宮殿の姿を見る
「ポツダムまで来ていたのか……」
このプロイセン王国の文化遺産を韃靼の血を引く蛮族に焼かせてはならない
ヴォルガ河畔の地より遥か遠い中央アジアに送られた祖父母……
必ず生きて帰って、待つ父母や兄弟に会う
家族愛、それ以上に強く思うのは、自らが恋慕する娘への感情
美しい亜麻色の髪をした美少女……
何れは、この胸に抱きたい
4機編隊の内、一機はこちらに引き付けた
通信を入れる
「此方一番機、2番機どうぞ」
湖上を滑る様に、飛びながら、背後からの射撃を避ける
通り抜けた個所に、曳光弾が撃ち込まれるのが見えた
「2番機より、一番機へ。
指示をお願いします」
返信があった
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