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冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
シュミットの最期  その2
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ラハヴィッツ少将に手紙を送ったそうではないか」
男の言葉に、参謀総長は目を剥く
「貴様の党への背信行為は、重々承知して居る。
党内の政治バランスのみで、昇進した小童(こわっぱ)には我らが深謀遠慮は理解出来まい。
違うか」
暫しの間、沈黙がその場を支配する
 議長が口を開いた
「米議会に置いて、一定の工作が成功し、アラスカ租借の目途が着きつつある。
最悪、東ドイツを失っても米本土の眼前に核ミサイルを配備出来る。
上手く行きさえすれば、北太平洋は我がソビエトの領海同然となり、あの禍々しい日本を一捻りで潰せる」
「つまり、東欧を米国にくれてやる代わりに、アラスカを取ると……」
KGB長官は笑みを浮かべる
「ドイツ人やポーランドの狂人共を世話を連中にさせるのだ。
痩せて石炭しか採れぬ片田舎など貰ってもソ連の為にはならん」
男は、議長の妄言に阿諛追従(あゆついしょう)する
「お約束しましょう。
KGBは、BETA戦勝利の為に労農プロレタリア独裁体制の維持を致します事を」
男達の呵呵大笑(かかたいしょう)が響き渡った


 東ベルリンでのソ連大使館前の銃撃事件を受け、ホワイトハウスでは対応に追われる
土曜の18時という時間に緊急会議が行われていた
西ベルリンに被害が及んだ際の対応に徹するべきという意見が、大多数を占める
葉巻を咥え、椅子に深く倒れ込む副大統領に、CIA長官が尋ねる
国家保安省(シュタージ)内の間者によりますと、3時間ほど前、反乱が発生した模様です。
反乱軍への対応は如何しますか」
彼の言葉を聞いた男は、前のめりになり、机に肘を置く
「情勢が明らかになるまで保留せよ」
「そうは言ってられぬ事態になったのです」
人工衛星の通信を謄写印刷した物を彼に見せる
「これは……」
口に咥えた葉巻を落としそうになり、右手で押さえる
「例の大型戦術機で、ゼオライマーと称されるものです」
葉巻を再び咥え、吹かす
周囲に紫煙が広がる
「東ベルリンに日本軍の戦術機だと……。
ややこしい話になるな」
男は、国防長官に話を振る
「ペンタゴン(バージニア州にある五芒星形の国防総省本部)の意思は……」
国防長官は、男の方を向く
「西ベルリンにある兵は、動かすつもりは御座いません」
煙が立ち上る葉巻を、右の食指と親指で掴み、灰皿に立てる
「日本政府は何と言っている……」
「国防省は現在調査中とだけ返答してきました」
ガラス製のコップにある水を口に含む
「煙に巻く積りか」
 黙っていた大統領が口を開く
「良かれと思って手を出せば、最悪の事態に発展しかねない。
現状維持で行く」
CIA長官は、大統領に意見した
「同盟国の戦術機とそのパイロットを見捨てろと申されるのですか。
閣下、自分は納得
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