第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその九
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は順調だ」
「順調なのですね」
「潜伏できているか」
「そうだ。できている」
こうだ。彼は于吉と左慈に述べる。
「何時仕掛けても問題はない」
「それにですね」
「あの男なら何があってもだな」
「所詮は捨て駒だ」
刹那は実に冷酷に述べた。
「どうなろうと知ったことではない」
「そうですね。所詮はですね」
「それ以外には使い方がない」
于吉も左慈もだ。刹那の話に対して率直に返した。
「成功しても失敗してもいい」
「まさにそういうことだな」
「所詮はその程度だ」
また言う刹那だった。
「生きている頃からそうだったしな」
「我々の崇高な目的も理解できていませんし」
「それ程の頭もないしな」
「そうした方の使い道は本当に一つしかありません」
「捨て駒だ」
こう素っ気無く述べてだった。彼等は刹那の策を見ていた。
その彼にだ。ゲーニッツが述べてきた。
「ただ。気になることがあります」
「あの男か」
「はい、出てきました」
そうなったというのだ。
「どうされますか、一体」
「どうということはない」
刹那はゲーニッツの言葉にもやはり素っ気無い。
「滅ぼすだけだ」
「この世界自体と同じくですね」
「そうだ。滅ぼすだけだ」
「かなりの強敵でもですね」
「俺の目的は決まっている」
例え何者が立ちはだかってもだというのだ。
「この世界に常世を実現させるだけだ」
「常世。実に素晴らしい世界です」
「邪な死者の世界とはな」
于吉も左慈もそうした世界については笑顔で応える。
「では今回はお任せしました」
「どうなるか見せてもらう」
「そうするといい」
こう話してだった。彼等は状況を見守るのだった。刹那の仕掛ける策のそれを。
第百十五話 完
2011・10・10
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