第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「僕達にも任せて」
「案ずるな。御前はこの世界では死なない」
また言う守矢だった。
「何があろうともな」
「兄さん、楓・・・・・・」
「わかったのなら今は休もう」
「何か食べようよ」
楓は少し明るくなって姉に提案した。
「餅でもどうかな」
「米の餅だ」
あの麦の餅ではなくそちらだというのだ。
「それを食べるとしよう」
「そうね。お餅をね」
「じゃあ皆も呼んでね」
楓はさらに明るい調子で姉に告げた。
「楽しくやろうよ」
「わかったわ。それじゃあ」
月も微笑みになった。そうしてだった。
彼女は考えを少しずつだが変えようとしていた。犠牲というその考えを。
孫権はあかりにだ。自分の天幕の中で常世についての話を聞いていた。
そうしてだ。こう言ったのである。
「つまり冥府というのね」
「それも地獄やな」
それが常世だとだ。あかりは孫権に話す。
「生きてる間碌でもないことしてた奴等が行く世界や」
「そうよね。それって完全にそれよね」
共にいる孫尚香も言う。
「悪人が行く場所なんだから」
「若しもですよ」
周泰もあかりの話を聞いて言う。
「常世と私達の世界がつながったらそれこそ」
「そや、周泰ちゃんの言う通りや」
あかりは周泰の心配する顔に応えてまた言う。
「悪霊がわんさと来るようになるんや」
「世界は終わりじゃな」
そこまで聞いてだ。黄蓋も顔を強張らさせている。
「絶対に許してはならんのう」
「ああ。だから月さんも必死なんだよ」
十三もそのことを話す。
「あの刹那を封じようってな」
「事情はわかったわ。それでだけれど」
「それでっちゅうと?」
あかりは孫権の話に応える。
「以前姉様を狙った紫鏡という男は」
「あれは只のゴロツキなんだよ」
彼のことは漂が話す。
「新撰組くずれのな」
「新撰組はあれよね」
孫尚香がまた問うた。
「鷲塚のおじさんとか小次郎とかの」
「ああ。まあ壬生狼っていってな」
漂はここから話す。
「京の都を取り締まる。そんな連中なんだよ」
「うち等の時代から先の。草薙とかの世界でいうとや」
どうかとだ。あかりが説明する。
「あれやな。ちょっと強い警察っていうか」
「憲兵っていうのか?あれは」
十三はそうした組織も話に出す。
「そうした連中だな」
「何となくはわかりました」
呂蒙が応える。
「兵達の中での監視役ですね」
「そうなるだろうな」
漂は少し考えてからまた述べる。
「新撰組についてはな」
「それでよね」
新撰組の話を聞き終えてからまた言う孫尚香だった。
「あいつ悪いことしてその新撰組を追い出されたのよね」
「そや。あんな碌でもない奴やからな」
あかりは顔を顰めさせてこ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ