リュカ'sキッチン レシピその1「よそみゆびきりパイ」
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
(グランバニア城・メインキッチン)
ニックSIDE
俺の名はニック。
子供の頃から料理人を目指し、今はグランバニア城のキッチンで働く見習いシェフだ。
ここグランバニアでは、一流のシェフになるには幾つかの道がある。
まず1つめは、自ら店を持ち客の口伝てで有名になる事。
実家が金持ちなら有名になる事以外は楽な道だが、貧乏だとそうはいかない。
それに店の経営に意識が行って、料理の腕前が上がりにくい。
2つめの道は、既に開業しある程度金銭的に余裕がある店に雇われる事。
先述の場合と違って、料理に邁進できる分、腕前も上がりやすい。
だが所詮は雇われの身……その店のスタイルに合った料理以外は練習できない。
3つめは、実家が飲食店。これは大きなアドバンテージだ。
先述した2つの良いとこ取り。
だけども自分の力では如何にも出来ないのが欠点。
4つめが、グランバニア城の見習いシェフになる事。
実はこれが一番難関!
その代わり一流と呼ばれるには一番の近道だ。
一年に一度、宮廷シェフの採用試験がある。
応募者は毎年100人から150人くらいいるが、その中で採用されるのは10人だ。
そして古参の宮廷シェフが卒業していく。
卒業と言ったが、別に城から追い出されるわけではない。
宮廷の方でかなりの就職先を探してくれるし、俺の様な『見習い』から通常の宮廷シェフにランクアップすれば、給料も結構あるから卒業までの間に貯金をしておけば、頑張り次第で一等地に店を構える事だって出来る。
しかも卒業者全員に『グランバニア王家認定料理人』という、証明書を発行して貰える。
これを持っていれば、地方のレストランくらいだったら、無条件で採用して貰えるし、数ヶ月後にはその店の料理長にまでのし上がってる可能性がある。
因みに卒業をせず腕前も人柄も認められてる上級シェフってのが、我々見習いやその上のシェフ等の教師的な立場の人が居る。
この上級シェフを決めてるのが王家の方で、腕前をティミー殿下が、人柄をリュカ陛下が見てると言われるほど審査には厳しい。
そんなグランバニア城の宮廷料理人……見習いなのが俺。
厳しい上下関係もあるし、皆料理に関してはストイックなので時と場合によっては職場の空気が辛い時もあるけど、得られるモノは一般の店と違って大きい。
料理の腕前は“教わる”と言う事が出来る為、向上する振り幅が大きい。
一般店だと客に料理を提供する事が一番の目的で、店が終わっても明日の仕込みやら何やらで料理を誰かに教わるなんてないだろう。
そして何よりご褒美なのが、リュカ陛下やビアンカ王妃陛下が時折キッチンを使いに来る事だ。
両陛下のお側で料理を学ばせてもらえる事が何よりも貴重だが、お二人に接近する事が出
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ