第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその四
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だが公孫賛には気付かずだ。そのまま素通りする。その二人にだ。
公孫賛は慌てて声をかける。彼女も必死だ。
「待ってくれ、私はどうなのだ」
「むっ、貴殿は確か」
鷲塚が最初に彼女に気付いた。続いて小次郎が。
そのうえで二人で彼女に顔を向けだ。そして言おうとした。
しかしだ。どうしても名前が出ずにだ。
お互いで顔を見合わせてだ。こう言い合うのだった。
「何処のどなただったのか」
「思い出せないな」
「我々の世界の者でもない様だが」
「一体何者なのだろうか」
「公孫賛だ。やはり知らないのか」
「ううむ。聞かない名前だ」
「こちらの世界の御仁なのはわかったが」
二人がわかるのはそこまでだった。それ以上はだ。
どうしてもわからずだ。こう言うのだった。
「まことにわからん」
「何処の誰なのか」
「またか。私はこうなる運命なのか」
「それでどうなのだ?一体」
「我々に何か用があるのか」
「もういい」
公孫賛はがっくりと肩を落として言った。
「私はどうせ。殆ど誰からも」
「気にしない」
呂布はその彼女の肩を叩きながら慰める。
「人は必ず見せ場がある」
「あるのだろうか」
「包丁を持てばいい」
だがだった。呂布は天然だった。
それでだ。ついこんなことを言ってしまったのだった。
「後は弟」
「弟は大好きだが」
「それかフガフガ言うか。そうすればいい」
「そちらの方がどうしても有名になるのか」
嬉しくもあり悲しい公孫賛だった。その彼女はともかくとしてだ。
鷲塚と小次郎がだ。一行に言う。
「それで我等は今こうしてだ」
「陣中を見回っているのだ」
「やっぱりあれよね」
その彼等に賈駆が応える。
「刺客を気につけてよね」
「うむ。他にはキム殿もそうされている」
「やはり見回っておられる」
「あいつとジョンやな」
張遼はキムもそうしていると聞いて少し嫌そうな顔になった。
そうしてだ。こう言うのだった。
「またチャンとかチョイとか連れてやな」
「うむ、そうしてだ」
「時間があればそうされている」
「修業と強制労働はそのままでやな」
その為の時間は絶対に削らないのがキムとジョンである。
「連れて行かれる連中がほんま可哀想や」
「何というかな。我々から見てもだ」
「キム殿とジョン殿は鬼だ」
まさにそれだというのだ。鬼だとだ。
「強制労働に修業もだからな」
「しかも深夜でも見回っている」
「ほんま鬼やな」
張遼はかなり引きながら真顔で言う。
「何であの二人は同じことやって平気やねん」
「恐ろしく頑丈な身体らしい」
「その為だな」
それ故にだと話す二人だった。そうしてだ。
彼等はあらためてだ。董卓達に述べた。
「ではこれからも
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