第十六話 飲みながら賑やかにその十一
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「飲むとこうなんだから」
「まさかこんな飲んべとは思わなかったわ」
理虹もやれやれといった顔だ、彼女も飲んでいる。
「私もね」
「そう?」
「そうよ、酒癖のことおばさんや明男君に言われない?」
「お母さんには一人で外で飲むなって言われてるわ」
こう理虹に答えた。
「危ないからって」
「女の子が一人で飲むとね」
「訳わからなくなって不用心になって満足に動けないから」
「そう、危ないでしょ」
「そう言われてるわ、お父さんにも」
「成海っちいなかったら」
それこそとだ、理虹は言った。
「本当にね」
「危ない?」
「ええ、そしてその成海っちにも迷惑かけない」
「そうよね」
「こんないい彼氏いないわよ」
理虹は周りに問うた。
「正直言って」
「立派よ」
富美子が真顔で言ってきた。
「成海っちは」
「そうよね」
一華は富美子のその言葉に頷いた。
「本当に」
「世話女房っていうか」
富美子は一華の言葉を受けてさらに言った。
「世話亭主?」
「そんな言葉あった?」
「なかったら今私が作ったのよ」
富美子は言葉に疑問符を付けてきたかな恵にこう返した。
「それなら」
「そうなの」
「そう、世話女房がいるなら」
それならというのだ。
「一緒にね」
「世話亭主がいてなの」
「いいでしょ、かかあ天下と亭主関白があるし」
この二つの言葉も出した。
「これ同じ意味でしょ」
「どっちもね」
「まあ実はね、かかあ天下って言っても」
富美子はさらに話した。
「実際は男の人って好き勝手やってるでしょ」
「そうしたものよね」
「そうかな」
達川は富美子達の今のやり取りに少し苦笑いになって述べた。
「男って」
「女の子というかお母さんから見たらね」
「そうなんだ」
「商業科でもね」
こちらでもというのだ。
「これ農業科もだけれど女の子の方が多いでしょ」
「それで女の子が強いんじゃないんだ」
「男の子数が少なくても」
それでもというのだ。
「第一よ」
「そうなんだ」
「まあ実際かかあ天下もあると思うけれど」
文字通りそうなっている夫婦がというのだ。
「恐妻家って言ってもね」
「実は違うんだ」
「漢の高祖だって」
劉邦のことだ、皇帝になる前と後では人間性が全く違う。
「恐妻家っていうでしょ」
「ああ、呂后だね」
「あの人凄かったっていうから」
史記にその逸話が書かれている、呂后本紀という彼女を項羽や夫の劉邦と同格の皇帝に値する存在としている書に詳しい。
「怒らせたら怖いって」
「怖いなんてものじゃないね」
達川は真っ青な顔で応えた。
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