第百十五話 鷲塚、小次郎を気遣うのことその三
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公孫賛はたまりかねた口調で董卓と董白の姉妹に愚痴を言っていた。外で車座になって座りながら。
「どういうことなのだ、一体」
「あの、どうされたんですか?」
その彼女に董卓が怪訝な顔で問い返す。
「御気分が優れない様ですが」
「今要人達には警護がついているな」
「はい」
「それは貴殿にもだ」
見れば董卓にもだ。妹の董白に呂布にいつも傍にいる娘に張遼がいる。あと影が薄そうな将も。
「五人もいるではないか」
「六人なのです」
陳宮だった。確かに彼女も入れると六人だ。
「ねねも忘れるななのです」
「むっ、それは済まない」
「それでどうかしたの?」
董白がその公孫賛に問い返す。
「そもそも貴女見ない顔だけれど」
「その通りなのです。ねねもこんな奴知らないのです」
「ほんま誰やあんた」
張遼も怪訝な顔で公孫賛に問う。
「怪しい奴やないのは何となくわかるけれどな」
「何者なのよ、本当に」
董卓から離れない賈駆も言う。
「どっかで見た気がするんだけれど」
「思い出せないのです」
また言う陳宮だった。
「御前、本当に何処の誰なのです」
「うう、何故いつもこう言われるんだ」
公孫賛も遂に泣きだした。
「私はそんなに影が薄いのか」
「公孫賛」
呂布がぽつりと言った。
「確か」
「何っ、それがこの者の名か」
華雄ですら言う。
「そうだったのか」
「そう。確か幽州にいた」
呂布はさらに言う。
「それがこの人」
「そうか。死っていてくれたか」
呂布の話にだ。公孫賛も満面の笑顔になる。
そうしてだ。呂布を抱きしめんばかりにして言うのだった。
「そうなのだ。私は公孫賛なのだ。かつては幽州の牧だったのだ」
「確か幽州の牧って袁紹殿だったんじゃ?」
董白はまだ気付いていない。
「四州の牧だって誇ってるけれど」
「だから前の牧だったんだ」
公孫賛は何とか力説する。
「何故それが忘れられるんだ」
「影が薄いんやろ」
張遼はさらりと核心を衝く。
「今にも消えそうな感じやしな」
「とにかく影が薄いにも程があるのです」
「そうよ。あんた本当に影薄いのよ」
陳宮に賈駆も続く。
「ある意味凄いわよ。そこまで影薄いって」
「うう、呂布だけか知っていてくれたのは」
「中身は違うと思いますけれど」
董卓は少しおどおどと述べる。
「確か麻雀御存知ですよね」
「うむ、知らない訳ではない」
「私その場で貴女に似た方を見た気がします」
「私もだ」
この辺りは二人共だった。董卓も公孫賛も。
「他にもここにいる面々が揃っているな」
「はい、かなり多いですよね」
「私は何故か他の世界では目立つ様なのだ」
公孫賛も中身の話に応じる。
「これでもだ。結
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