第四十五話 考えは変わるものその一
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第四十五話 考えは変わるもの
父が帰ってきた、すると咲は晩酌の焼酎と焼き魚に冷奴それにわけぎと貝のに味噌和えと和布スープを食べている彼に尋ねた。彼女の手には牛乳がある。
「お父さんちょっといい?」
「どうしたんだ?」
父は娘にご飯を食べながら言葉を返した。
「お金ならアルバイトしてあるだろ」
「お父さんのお仕事のことよ。埼玉に転勤するわよね」
咲は牛乳を飲みビスケットをかじりながら尋ねた、見れば何時の間にかビスケットまでその手にある。
「そうよね」
「ああ、もう受け入れたよ」
父はあっさりと答えた。
「お家はこの東京だし埼玉も都会だしな」
「そのことがわかったのね」
「所沢のこともな、通勤だって」
このこともというのだ。
「あんまり時間がかからないからな」
「電車も多いわよね」
「だからな」
そうした条件がわかってというのだ。
「もうお父さんもな」
「いいってなったのね」
「受け入れたよ、ずっと東京で働いてきたけれど」
それでもというのだ。
「もう受け入れたよ」
「それでなのね」
「もうお酒飲んで憂さを晴らしたりしないよ」
「暫く毎日そうしてたわね」
「それもしないし」
転勤そして所沢も受け入れたからだというのだ。
「店長としてどう働くか」
「所沢のガソリンスタンドで」
「そのこと考えているよ」
「そうなのね」
「ガソリンスタンドには何度か働いているし」
「店長さんもやったことあるのね」
「あるんだ、やりがいがあるお仕事だぞ」
父は娘に笑顔で話した、焼き魚はカレイで彼の好物でもある。
「何かとな」
「じゃあお仕事のことは問題ないのね」
「ああ、皆で楽しくやって多少以上のことでも怒らない」
「怒らないの」
「わざととんでもないミスをしない限りはな」
お店の者がというのだ。
「そうするものだ」
「それがガソリンスタンドなのね」
「そうなんだ、咲もガソリンスタンドで働けばわかるよ」
「そうなのね」
「中々やりがいがあって」
そうしてというのだ。
「滅多なことで怒ってはいけない」
「そうしたお仕事なのね」
「仕事は何でも怒ったら終わりだよ」
父は娘にこうも言った。
「特に客商売は」
「お客さんに怒ったら終わりね」
「先のアルバイト先もそうだろ」
「ええ、怒ったらね」
その時はとだ、咲は牛乳を飲みながら答えた。
「その時点でね」
「そしてお客さんを怒らせても」
「終わりよね」
「ただしクレーマーは話を聞いて」
「流すのね」
「世の中そうした人もいるんだ」
クレーマーもというのだ、中にはそれを生きがいにしている者もいるから始末が悪い。それもまた社会である。
「そうした人の話
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