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巫女といえど人間
第二章

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「何と素晴らしいのか」
「そうですね、ただ」
「ただといいますと」
「よく見ていればわかりますよ」
「といいますと」
「ですから巫女の娘達を」
 後藤はイタガキに話した、それでこの日は時間があったのでそのまま彼と一緒に大社の中を歩いた、そうしてだった。
 巫女達を見ていると。
 確かに衣装は可愛らしく日本の神道の神秘的な魅力に満ちている、だが。
 掃除をしていても躓いたり落ち葉が上の着物に着いて払ったりしていた。売り場でも時間がないと巫女同士談笑したり。
 何処を掃除しただの何が何処にあって何が足りないだの話をしていて。
 同僚にトイレに行くから少しお願いと言って持ち場を離れたりしていた、イタガキはその巫女達を見て言った。
「あれっ、どうも」
「人間的というか人間ですよね」
「そうですね、神々しいのですが」
「巫女も人間ですから」
 後藤はイタガキに笑って話した。
「失敗したりお喋りしたりおトイレも行きますよ」
「そうなんですね」
「人間ですからね」 
 巫女もというのだ。
「そうしますよ」
「そうですか」
「まあ特別な存在かというと決してそうではない」
「このことはですか」
「覚えておいてくれたら嬉しいです」
「わかりました、ですがその人間らしさがまた」 
 イタガキは後藤にあらためて話した。
「いいと思いました」
「そうなんですか」
「余計に巫女が好きになりました」
「それは本物ですね」
「本物の巫女萌えですか」
「そうかと」
「ではその道を進んでいきます」
 イタガキは笑顔で話した、そしてだった。
 彼は暇があると神社に赴き巫女を見て目を細めさせた、そうして後藤はそんな彼を大社に参拝した時に時々見た、紳士的に彼女達を見て萌えている彼を見る度にまさにこれこそが本物の萌えであると確信した。
 イタガキもこう言った。
「本物の萌えは付きまとうのではなく紳士的に愛情を以て接することですね」
「僕もそう思います」
 実は後藤は鉄ヲタで彼等の一部のマナーの悪さに辟易していたのでこう返した。
「全く以て」
「ですから私はです」
「紳士的にですね」
「そして節度を以て」
 そのうえでというのだ。
「巫女の方々を観ていきます」
「そうしていかれますか」
「日本を去ってもそうします」
 笑顔で言った、そして後にSNSで世界に巫女の素晴らしさを伝え世界的な巫女萌えの権威となったのであった。


巫女といえど人間   完


                 2022・3・22
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